第437話

No.434
7,852
2021/04/14 21:58
あなた
降ろして







結局あのまま、私は弟の部屋に連行された。





部屋に入ってからそう言って弟を軽く睨む。





そうすれば、弟は意外にもあっさりと私を降ろした。







轟焦凍
...
あなた
?なに...ひゃあっ







弟は黙ってこちらを見つめていたかと思うと、突然、私の首元に顔を埋めてきた。





思わず声を上げると、弟は一旦、顔を離してこちらを見つめる。







轟焦凍
...さっきのは、お前が悪ぃんだからな
あなた
な、なんの話...っ







弟は私の問いには答えず、再び首元に顔を埋めてくる。





それから、がぶっ、と獲物を食らう猛獣のように噛み付いてきた。







あなた
い"っ







それを少し繰り返してから、顔を上げる。





また噛み跡つけちゃって...。





もう何回目だよ、これ。







轟焦凍
それ着てる間は、お前は"俺だけの"メイドさんだ
あなた
はい?
轟焦凍
ご主人様の言うことはちゃんと聞くんだぞ?
あなた
いや、もう脱ぐし...







そう言ってから、気がついた。





...着替えは全部、部屋にあるということに。







轟焦凍
お前のメイド服姿見れんのは、俺だけで充分だ







そう言って弟は、私の頬を優しく撫でる。





と思ったら、とんでもない言葉を口にした。







轟焦凍
じゃあ、まずは"抱かせろ"
あなた
...は?







弟が言ったひと言に、私は一瞬弟がなにを言っているのかわからなくなった。





抱かせろ...?





抱く、って...。





はあ!?





意味を理解した瞬間、私は一気に真っ赤になった。







あなた
さ、さすがに無理だから!!
轟焦凍
なんでだ。彼女だろ
あなた
彼女じゃないっ!







姉弟とカレカノじゃ全然違うじゃん。





弟は不満そうに頬を膨らませる。







轟焦凍
でもお前、俺のこと好きだろ?
あなた
そりゃあ...好き、だけど







お互いにそういう意味で好いているのはわかってるとしてもだよ。







あなた
やっぱダメだってば!社会的に許されないんだし!
轟焦凍
バレなきゃいいだろ
あなた
そうじゃない!







ヒーロー志望がバレなきゃ何やってもいいみたいな言い方しちゃダメでしょ。







あなた
それに私たち、まだ高校生なんだよ...
轟焦凍
...







そう言うと、弟は残念そうにため息をついた。





いやだってさすがにダメだよ。





姉弟だもん。







轟焦凍
じゃあ大人になったら抱く
あなた
いやいや...







年齢の問題じゃないんだってば。





話通じてないじゃんか。

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