第434話

No.431
7,684
2021/04/09 11:10
あなた
ね、ねぇ、やっぱりやめない...?
耳郎響香
なに言ってんのさあなた、ここまで来たんだから行っておいでよ
芦戸三奈
そうだそうだ〜!
あなた
いや、でも...







私は自分が身につけているものを改めて眺める。





ふりふりのミニスカート、黒と白で統一されたフリル。





そう、私が着ているのはメイド服。





放課後になって寮に帰った瞬間、なぜか女子たちに連行された。





そのままヤオモモちゃんの部屋に連れていかれ、訳が分からないままメイド服を着させられたのだ。





で、今に至る。





...結局真相はわかんないままだけど。







あなた
なんで私に着せたのさ
葉隠透
あなたちゃんに似合うと思ったからだよ!







絶対似合ってないよ。





てか突然すぎるでしょ、なにがあったんだか。







あなた
私よりヤオモモちゃんの方が似合うと思うんだけど...
八百万百
そんなことありませんわ。とても似合ってますわよ、あなたさん







そう言ってにっこり笑うヤオモモちゃんはまさに天使。





...いや待て、そもそもなんでメイド服があるんだよ。







芦戸三奈
女子で一番メイド服が似合うのは誰かな〜、って思って。で、みんなで話し合った結果があなただったの!
耳郎響香
だからヤオモモに作ってもらって、実際にあなたに着せたわけ
葉隠透
そしたら予想以上に似合ってたから、せっかくだし男子たちにもお披露目しよ〜!ってことになったの!







理由がめちゃくちゃだよ。







蛙吹梅雨
峰田ちゃんや上鳴ちゃんは私たちが見張っておくから、あなたちゃんは安心してていいのよ
あなた
え、このカッコで私、男子の集団の中行くの...?
芦戸三奈
当たり前じゃん!そのためにここまで来たんだから!







鬼ですかあなたたちは。







麗日お茶子
あなたちゃん、メイド服信じられんくらい似合っとるから大丈夫だよ
あなた
嬉しいけど嬉しくない
芦戸三奈
いいからいいから!ほら!
あなた
あ、ちょっと







どうやら私に拒否権はないようだ。





三奈ちゃんはくるりと体の向きを変え、男子たちに向かって声を上げる。







芦戸三奈
え〜皆さん!今から轟あなたによるファッションショーを開催したいと思います!







なんて大袈裟な...。







上鳴電気
え、なになに!?姫のファッションショー!?
峰田実
なに着るんだ!?えっろいやつか!?







ああ、もう嫌な予感しかしないんだけど。







轟焦凍
あなたの...ファッションショー...
緑谷出久
轟くん、なんか違うこと考えてない?







ぼーっ、としている弟を見ながら、緑谷くんが声をかけている。





あーもう、見せたくないのに。







麗日お茶子
頑張ってあなたちゃん!
八百万百
あなたさんなら大丈夫ですわ!
あなた
う、うん...







そしてなぜか女子たちには応援される始末...。





てかなんでよりによってミニスカートのメイド服なのさ。





せめてロングスカートにしてよ、足がスースーする。





ただでさえ制服のスカートでも短いな、って思う時あるのに。







芦戸三奈
まあファッションショー、っていっても1着だけなんだけどね。まあそれは置いといて、あなた!ほらこっち!
あなた
...







仕方ない、諦めよう。





みんな乗り気なのに、私が嫌がってたらシラケちゃうもの。





私は小さくため息をついてから、ひらひらとスカートをなびかせてみんなの前に出る。





男子たちは私を見ると、大きく目を見開いてかたまった。

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