そう言って攻撃を仕掛けるオールマイトだが、オール・フォー・ワンは難なくはじき飛ばした。
再び土煙が舞う。
思わず目を瞑り、腕で防ぐ。
あんなに遠くまで飛ばされているなんて。
やっぱりヴィラン連合のボスは強い。
いくらオールマイトでも、一筋縄じゃいかないみたい。
オール・フォー・ワンの指が、赤黒く光って機械のように伸びていく。
それらは、黒霧に刺さった。
酷い。
仲間を刺すなんて。
ヴィラン連合の一人の言葉に対し、オール・フォー・ワンはなにかを言った。
私にはよく聞き取れなかったけれど、なんて言ったんだろ。
と、ワープホールのようなものが現れた。
気絶してるのに、個性が使えるの?
強制させてまで、そんなことをするの?
なんてやつなんだろう。
死柄木がそう言った瞬間、オールマイトが瓦礫から飛び出してきた。
空中に浮き、オールマイトとの戦闘に戻っていくオール・フォー・ワンを、死柄木は見つめている。
二人の拳が交わると、二人爆風が起こる。
思わず周りを見回す。
ヴィランたちに、完全に囲まれている。
逃がさないとでもいうように。
私たちは戦闘態勢を取り、ヴィランたちの攻撃に備える。
そんな私たちを見て、待ってましたと言わんばかりに攻撃してくるヴィラン連合。
どうやら、強引にでも私たちを連れて行く気らしい。
その声に後ろを振り向くと、あの仮面男が私に近寄ってきていた。
爆豪くんが慌てて私の腕を引っ張ってくれたおかげで、なんとか免れる。
私たちは背中合わせになり、攻撃に備える。
6対2、か。
普通だったら圧倒的に不利だ。
だけど、今はそんなことに構ってなんかいられない。
もう絶対に捕まらないように、少しでも戦わないと。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。