されていることに対して顔を赤くする私とは対照的に、爆豪くんはなんとも思っていないようだった。
いや、絶対気がついてないだけだよね?
ミッドナイト先生の言葉で、爆豪くんはようやく今の状況に気がついたらしい。
しまった、といわんばかりの表情でかたまっている。
頼むから早く降ろしてくれよ。
いたたまれなくなって爆豪くんの右頬をぺちぺちと叩くと、我に返ったようで。
無言で私をプールに降ろした。
私はプールから上がり、そのままマネキン人形をミッドナイト先生に渡してみんなが見学している場所に戻る。
無事に訓練は終わったし、まあよかったかな。
思ってたより爆豪くん優しかったものね。
声が聞こえて振り向けば、座っている爆豪くんに上鳴くんが歩み寄っているところだった。
やっぱり言われてる...。
あんまり言いすぎると、また爆破されるよ上鳴くん。
そう思いながら座っていると、
三奈ちゃんが私の顔を覗き込んできた。
モテモテではないと思うんだけど...。
そのうちに、わらわらとみんなが集まってくる。
そんな中で、響香ちゃんが言った。
みんなの興味津々な眼差しが、私を見つめる。
恋愛に発展するわけじゃないんだから、そんな表情されてもなぁ。
ブーイングされてもねぇ。
ほんとになんとも思ってないんだよね。
女子たちで話していると、すぐ近くでテノールが響く。
声の主は、弟だった。
なんだ急に。
ぼけっ、としていると、三奈ちゃんに背中を押し出された。
弟に腕を掴まれ、ずるずると引きずられるようにしてどこかへ連行される。
ちらりと女子たちの方を振り返ってみると、全員がにっこりと笑顔を浮かべてこちらに手を振っていた。
なぜだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。