夜。
共有スペースでお茶を飲みながらくつろいでいると、上鳴くんが私を呼んだ。
そう言いながら、上鳴くんは私に手紙を渡す。
なんだろ。
元々ヒーロー科意外の人とは接点がないし、変なこと言われるとかはないと思うんだけど。
そのうちみんながなんだなんだと集まってきて、私の手元を覗き込む。
みんなが周りに集まってくる中で、私は手紙を開いた。
【轟あなたさんへ】
"体育祭の時からずっとあなたのことが好きでした。文化祭でのミスコンを見て、さらに惚れ直しました。俺と付き合ってください。月曜日の昼、中庭で待っています"
三奈ちゃんや透ちゃんを含む、女子たちが騒ぎ出す。
嘘でしょ...なんで告白なんか。
しかも手紙、って。
みんなはそう言って盛り上がってるけど、別にモテたって嬉しくないんだよね。
だって、好きな人にモテないと意味ないじゃん、恋愛って。
そんな中で、弟の少しドスの効いた声が響く。
みんなが一斉に静まり返る中、弟は続ける。
私の言葉を聞いて、弟はムッ、と不機嫌そうな表情を見せる。
と思ったら、くるりと踵を返して歩いていってしまった。
その様子を見ていた緑谷くんが、慌てて追いかける。
飯田くんの仲が良いとはまたちょっと別な気がする...。
でもまあ、それよりも。
とりあえず弟の部屋に行こう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。