第520話

No.517
6,785
2021/06/15 13:02
上鳴電気
姫〜







夜。





共有スペースでお茶を飲みながらくつろいでいると、上鳴くんが私を呼んだ。







あなた
上鳴くん、どうかした?
上鳴電気
寮に帰ってくる前にさ、なんか手紙渡されたの。姫宛だって言われた
あなた
私に?
上鳴電気
ヒーロー科じゃ見かけない顔だったし、普通科かどっかの男子なんじゃね







そう言いながら、上鳴くんは私に手紙を渡す。





なんだろ。





元々ヒーロー科意外の人とは接点がないし、変なこと言われるとかはないと思うんだけど。





そのうちみんながなんだなんだと集まってきて、私の手元を覗き込む。





みんなが周りに集まってくる中で、私は手紙を開いた。









【轟あなたさんへ】
"体育祭の時からずっとあなたのことが好きでした。文化祭でのミスコンを見て、さらに惚れ直しました。俺と付き合ってください。月曜日の昼、中庭で待っています"









芦戸三奈
ねぇこれ告白じゃん!
葉隠透
リアルラブレターだ!







三奈ちゃんや透ちゃんを含む、女子たちが騒ぎ出す。





嘘でしょ...なんで告白なんか。





しかも手紙、って。







切島鋭児郎
やっぱりモテるんだな、姫って
尾白猿尾
ミスコンのおかげでさらに注目度上がったんじゃないかな
上鳴電気
すげぇな〜!この短期間で告られんの2回目じゃね?
瀬呂範太
姫モテモテだな〜







みんなはそう言って盛り上がってるけど、別にモテたって嬉しくないんだよね。





だって、好きな人にモテないと意味ないじゃん、恋愛って。







轟焦凍
おい







そんな中で、弟の少しドスの効いた声が響く。





みんなが一斉に静まり返る中、弟は続ける。







轟焦凍
誰だ、そいつ
あなた
誰だって言われても、私にもわかんないよ。会ったことないもん
轟焦凍
...どうするんだ、それ
あなた
ちゃんと会ってから言うよ。じゃないと相手にも失礼でしょ?
轟焦凍
...







私の言葉を聞いて、弟はムッ、と不機嫌そうな表情を見せる。





と思ったら、くるりと踵を返して歩いていってしまった。





その様子を見ていた緑谷くんが、慌てて追いかける。







切島鋭児郎
なあ、轟のやつ、どうしたんだ?
麗日お茶子
たぶん、嫉妬しとるんとちゃうかな
耳郎響香
嫉妬?
瀬呂範太
あれだろ。姫のこと取られると思ってるんでしょ
上鳴電気
姫轟に愛されてんな
飯田天哉
うむ!仲が良いのはいいことだ!







飯田くんの仲が良いとはまたちょっと別な気がする...。





でもまあ、それよりも。





とりあえず弟の部屋に行こう。

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