思わず呟く。
次の日の朝、起きた瞬間に物凄い倦怠感が身体を襲った。
まさかと思って熱を測ると、思っていた通り熱があったのだ。
もう細かい数字は忘れたけど、38℃は優に超えていたはず。
今日は間違いなく学校には行けないだろう。
ひとまず相澤先生に、風邪を引いたので学校を休むと連絡を入れ、もう一度布団に寝転がる。
この大事な時に風邪を引くのは、いくらなんでもキツすぎる。
仮免でも遅れてるぶん、それを取り戻さなくちゃいけないのに。
風邪を引いたせいか、とにかく寒い。
布団を頭まで被っても寒いのは変わらない。
昔から私は、風邪を引きやすい体質だった。
雄英に入ってからは体調が悪くなることは滅多になかったし、もう大丈夫かなって思っていたんだけど。
現在進行形でこの状態だ。
私は風邪を引くと、ほとんどの確率で症状が重くなる。
咳は止まらなくなるし、呼吸だってしづらくなる。
風邪を引くのは初めてじゃないけど、これが結構キツいんだよね。
しかもなんか、すっごく寂しくなるというか...。
情けないや。
急に聞こえた弟の声に、私は焦る。
いきなり部屋に押しかけてくんなよ。
てか、異性の部屋になんの躊躇いもなく入ってくるこいつ、っていったい...。
ダメだ、考えるのはやめよう。
弟に風邪が移ってしまったらたまったもんじゃない。
てかもうそろそろ学校行かなきゃ間に合わないでしょ、早く出てってよ。
そんなことを思いながら見つめていると、弟は鞄を畳に置いて、寝転がっている私の横に座った。
弟は私の横に座ったまま、なにかを考えている様子だ。
もう一度声をかけようとすると、弟はおもむろにスマホを取り出した。
そして、誰かに電話をかける。
そのまま弟は相澤先生となにかを喋っていたが、私はその内容をよく聞き取れなかった。
熱で頭がぼーっ、とする。
それのせいで、よく聞こえなくなっていたんだ。
それ相澤先生が言ったんじゃなくてさ。
絶対自分で言ったんでしょ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!