第48話

No.48
22,006
2020/09/10 10:14
あなた
タキシード、白色なんだね
轟焦凍
ああ。俺も黒だと思ってたんだが、白にされた








タキシードの裾をつまみながら、弟はぽやっ、とした表情で言った。





白のタキシードが似合う人って、たぶん中々いないと思うんだよね。





それを着こなせる弟、って...。





うーん、不思議だ。







轟焦凍
あなた、行くぞ
あなた
どこに?
轟焦凍
写真撮影
あなた
は?








なんで写真撮影?





きょとんとしていると、弟が不思議そうな表情で問いかけてきた。







轟焦凍
着替える時に言われただろ?着替えたら写真撮影するって
あなた
え、聞いてない








そんなこと、一言も言われてないんだけど。





てか、写真撮影するの?





写真撮られるの、あんまり好きじゃないんだけどな。





ま、せっかくこうしてドレスを着られたわけだし、記念になるからいいか。







モブキャラ(女)
まあ!お二人共、すごく似合ってますよ!








ぱちん、と手を合わせて、店員さんは目を輝かせる。





なんか可愛いかも、この店員さん。





親近感みたいなの湧いてくるよ。







モブキャラ(女)
白色のタキシードを着こなせる男性、中々いないんですよ。彼氏さんはちゃんと着こなせてますね、すごいです!
轟焦凍
...どうも、








だから彼氏じゃないんですってば。





てか、あんたも否定しなさいよ。







モブキャラ(女)
それでは撮影を致しますので、こちらに並んで立ってください








すたすたと歩いていく弟に対し、私は渋々ついていく。





やっぱ歩きづらいな、ドレスって。





そんなことを思いながら歩いていると、







轟焦凍








弟が私に手を差し出してきた。





え、なに?







あなた
なに?その手
轟焦凍
手ぇ置けよ







なんで?







轟焦凍
エスコートする
あなた
え、いいよそんなの
轟焦凍
新郎が花嫁をエスコートしねぇでどうすんだ








新郎?花嫁?





なに言ってんだこいつ。







あなた
そういうのいいってば。てか、私たちは双子でしょ
轟焦凍
...ならこうする。
あなた
は?ちょっ、!








ぼそりと呟いた弟は、次の瞬間、私を横向きに抱き上げた。





いや、なんでこんなところでお姫様抱っこするんだよ。





状況的にやばいでしょ、てか恥ずかしい。







あなた
降ろしてよ、なんでこんなことすんのさ
轟焦凍
あなたがエスコートされてくれねえから








弟はクスリと笑う。







轟焦凍
大人しくエスコートされとけば良かったのに...な?
あなた
っ、バカ








その状態のまま、そんな柔らかい表情で微笑むなや。





一瞬ドキッとしたけど、きっと気のせいだ。

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