第92話

No.92
18,478
2020/09/25 09:15
誰かの声が聞こえる。





これは誰の声?





ていうか、ここはどこなの?







爆豪勝己
やっめろ!!こいつに触んな!!








今の声は、爆豪くんだ。





でも彼の声と同時に、金属が擦れる音のようなものも聞こえる。





私は目を閉じているため、視界は真っ暗だ。







爆豪勝己
なんでこいつまで連れ去ったんだ!!俺一人で十分だったろうがぁ!!








ガシャン、ガシャンという音に混じり、爆豪くんの怒声。





なにをそんなに怒っているの?





なにが起きたの?





ここは、どこ?







???
うるさい。別に殺すわけじゃないんだから、そこまで騒ぐな








爆豪くんとはまた別の、違う男の声。





だけど、どこかで聞いたことのある声だ。





しかもあんまりよくない思い出の方。





誰だったかな。







爆豪勝己
だったらこいつを離せ
???
それは出来ん。逃げられたら困るからな








爆豪くんは、いったい誰と会話をしているの?





目を開けようとするが、瞼が上がらない。







爆豪勝己
てめぇら、こいつになにしやがった...!
???
ちょっと眠らせただけだ。抵抗されるとたまったもんじゃない








眠らせた?





私を?





そういえば私、林間合宿に来ていて...。





森でヴィランと遭遇して、爆豪くんが連れ去られて...。





ってことは、ここはヴィラン連合が集う基地?





そこまで思考が追いついたあと、重い瞼がわずかに開いた。







爆豪勝己
!おい、起きろ。大丈夫かよ








そんな私に気がついたのか、爆豪くんが反応する。





彼にしては珍しく、どこか焦っているように見えた。





目を完全に開けると、目の前にはヴィラン連合の集団。





ふと手元を見ると、私の手には鎖が巻き付けられていた。





どうやら逃げることができないように、固定されているようだ。





後ろにもなにかが固定されていて、動けない。





唯一動くのは、頭だけ。





腕や足は、動けないようにされていた。







あなた
私は大丈夫。爆豪くんこそ、大丈夫?
爆豪勝己
平気に決まってんだろーがよ。お前に心配される必要なんざねえ








私は思わずムッ、として、言い返した。







あなた
私はクソ女でもお前でもない。あなただよ
爆豪勝己
だーっ!!わーったよ!あなた!これでいいんだろ!








ヤケクソ気味に言った爆豪くんに、私は少し目を見開く。





本当に言ってくれるとは思っていなかったから。







敵(ヴィラン)
さて、お喋りはここまでにして、軽く自己紹介でもしよう








そう言って、一人のヴィランが私たちに目を向けた。

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