言い方うぜぇ。
思わず顔を顰める私に対し、彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
上から目線ムカつくな。
さて、どうしようか。
私が必死に対処法を考えていると、突然、肩に手が置かれた。
弟だ。
なんか誤解生むような言い方やめてくれます?
でも、弟がこう言うなら理解してくれるかな。
そう思っていたけど、どうやら甘かったらしい。
なんでそうなるんだよ。
場所を考えるでしょ普通。
TPOもわかんないのかな。
は?
待て、なに言ってんだこいつ。
呆気にとられる私に対し、弟は冷静だ。
改まったようにこちらに向き直ると、がしっ、と肩を掴んできた。
ほんとにやるの?
少しの間戸惑っていたが、弟の真剣な瞳を見ていたら、なぜかどうでも良くなってきた。
やったらほんとに満足してくれるんだろうか。
わからないけど、やるしかないみたいだ。
合意の意味を込めて見つめ返すと、弟はそれが伝わったのか、ゆっくりと顔を寄せてくる。
唇が触れ合ったと同時に、私は肩を跳ねらせる。
さすがの弟も状況がまずいとわかっているからか、すぐに離れた。
私たちはお互いに離れると、女子生徒の方に向き直る。
彼女はというと、こちらを凝視したままかたまっている。
改めて問いかけてくる女子生徒に、弟は少し苛立ったように答えた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。