第375話

No.373
8,400
2021/02/23 12:29
モブキャラ(女)
付き合ってるんでしょ?ならできるよね、キスくらい
あなた
...なんでここでしなきゃいけないの
モブキャラ(女)
あれぇ?できない、ってことはやっぱり嘘なのかなぁ?







言い方うぜぇ。





思わず顔を顰める私に対し、彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべる。







モブキャラ(女)
どうせ嘘だったんでしょ?今なら許してあげるから、素直に認めてよ







上から目線ムカつくな。





さて、どうしようか。





私が必死に対処法を考えていると、突然、肩に手が置かれた。







轟焦凍
嘘じゃねえ







弟だ。







轟焦凍
あなたは俺の彼女だ。キスだって何回もしたことある







なんか誤解生むような言い方やめてくれます?





でも、弟がこう言うなら理解してくれるかな。





そう思っていたけど、どうやら甘かったらしい。







モブキャラ(女)
何回もしたことあるなら今だってできるでしょ?







なんでそうなるんだよ。





場所を考えるでしょ普通。





TPOもわかんないのかな。







あなた
っ、いい加減にしてよ。常識ってものがなってないんじゃ...
轟焦凍
わかった







は?







轟焦凍
そんなに言うなら見せてやるよ







待て、なに言ってんだこいつ。





呆気にとられる私に対し、弟は冷静だ。





改まったようにこちらに向き直ると、がしっ、と肩を掴んできた。







轟焦凍
キスすれば満足してくれんだろ?
あなた
え、ちょっ







ほんとにやるの?





少しの間戸惑っていたが、弟の真剣な瞳を見ていたら、なぜかどうでも良くなってきた。





やったらほんとに満足してくれるんだろうか。





わからないけど、やるしかないみたいだ。





合意の意味を込めて見つめ返すと、弟はそれが伝わったのか、ゆっくりと顔を寄せてくる。







あなた
っ、!







唇が触れ合ったと同時に、私は肩を跳ねらせる。





さすがの弟も状況がまずいとわかっているからか、すぐに離れた。







轟焦凍
っ...これで満足しただろ
あなた
...







私たちはお互いに離れると、女子生徒の方に向き直る。





彼女はというと、こちらを凝視したままかたまっている。







モブキャラ(女)
...ほんとに、付き合ってるの?
轟焦凍
だからそう言ってるだろ







改めて問いかけてくる女子生徒に、弟は少し苛立ったように答えた。

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