第484話

No.481
7,184
2021/05/06 14:38
轟焦凍
悪ぃ...。完全に寝ぼけてた
あなた
いいよ、気にしてないから。それより、なんで焦凍がここに?







弟は立ち上がり、ベッドの縁に腰掛ける。







轟焦凍
戦闘訓練終わってから1回保健室に行ったんだが、お前全然目ぇ覚まさねえし...。放課後になっても来ねえから心配になって、ずっとここにいたんだ。そしたら、いつの間にか寝落ちしてた
あなた
そうだったの...。ごめんね、心配した?
轟焦凍
すげぇ心配した







そう言うなり、弟は私に抱きついてくる。





もう、誰かに見られたらどうするのよ。





そう思いながらも、私は弟の背中に片腕を回し、もう片方の手で頭を撫でてやる。







轟焦凍
...あんま無理しねぇでくれ
あなた
うん...。ごめん







明確な原因はわからないけど、たぶん、寝不足からくる頭痛だったのかもしれない。





ミスコンや仮免のことで頭の中がいっぱいになっていたせいでもあるだろう。





でも、ミスコンのパフォーマンス練習で、最近寝るのが遅くなってきているんだ。





それが続いたせいなのかもしれない。







轟焦凍
頭痛てぇの大丈夫か?
あなた
うん、寝たら治ったよ
轟焦凍
そうか、ならよかった







安心したように微笑む弟を見て、私も笑う。







あなた
さてと。じゃあ、帰ろっか
轟焦凍
立って大丈夫なのか?
あなた
ん、もう平気だよ







そう言いながら、私はベッドから降りようと床に足をおろす。





それにしても、ちょっと寝すぎちゃったな。







轟焦凍
背中乗るか?
あなた
大丈夫だよ、そこまでしなくても
轟焦凍
そうか







過保護発動しかけてるよ。





てかリカバリーガール、戻ってきてないんだね。





どこ行ったんだろ。







あなた
私、荷物取りに教室まで行くけど...。焦凍はどうする?
轟焦凍
俺も行く
あなた
わかった







私たちは保健室を出て、教室に向かう。





...さすがに誰もいないか。





思った通り、教室内はしーん、と静まり返っていた。







あなた
あ、ごめん。すぐに荷物整理するから
轟焦凍
おぉ、ゆっくりでいいぞ







みんな今頃、なにしてるかな。





バンド隊やダンス隊は練習してるかも。





私も早く、パフォーマンスの練習しなきゃ。







あなた
お待たせ。行こっか
轟焦凍







早く練習しなきゃ。





やりたいパフォーマンスは決まったんだから。





それにこれは、今私がやりたいことなんだ。





無理してやってるんじゃなくて、自分の意思だ。







あなた
焦凍、早く早く
轟焦凍
そんなに急いでどうしたんだ?珍しいな
あなた
いいからいいから







こんなに楽しみだと思った文化祭は、初めてかもしれない。

プリ小説オーディオドラマ