現在、仮眠室。
今日のヒーロー基礎学についての話があるから来てくれと言われ、昼食後に来ていたんだけど...。
私はジト目で相澤先生を見つめる。
が、相澤先生はどこか満足そうだ。
こんな目で先生を見つめる理由はひとつ、それは...。
そう。
なぜか私は、猫耳パーカーを着せられているのだ。
なんでこんなもの持ってるんだよ、相澤先生。
まあ、確かにそうだけど。
というか、
私は猫耳パーカーを着た壊理ちゃんを想像してみる。
...絶対可愛い、天使だ。
上は黒色の猫耳パーカー、下は同じく黒色のズボン。
が、ズボンにもなぜか猫のしっぽがついている。
着せるなら私じゃなくて壊理ちゃんにしてよ。
私に着せないでくれ。
またもみくちゃにされる未来が見えるよ。
果たして合理的なのか、これは...。
ぺこりと頭を下げてから、私は仮眠室を出る。
それにしても、なんで猫耳パーカーなんか...。
そもそも救助者って、こんなの着てていいのかな。
言っちゃ悪いけど、この服、完全に相澤先生の趣味全開なんだよね。
そういえばあの人、猫好きだからなぁ。
なんて思いながら歩いていると、
誰かに思いっきりぶつかった。
声からして、たぶん男子だ。
体格差も相まってか、私は盛大に尻もちをつく。
ぶつかってすみませんでした、と。
そう言おうと顔を上げて相手を見た瞬間、私はぽかんと口を開けてかたまった。
相手も同様だ。
ぶつかった相手は、普通科の心操くんだった。
私たちはお互いに相手を見つめ、呆然。
てか、この姿見られた...。
最悪だ...。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。