夕方。
寮に帰った私は、ある人物を部屋に招き入れていた。
ひとりは弟、もうひとりは...。
爆豪くんだ。
私が二人を部屋に入れたのは、ほかでもない。
仮免講習について話すためだ。
仮免講習組である私たち3人は、たまにこうしてひとつの部屋に集まり、反省会などを行っている。
まあ、今はただ次の講習の確認をしただけなんだけどね。
せっかく集まったのに。
爆弾発言投下すんのやめて。
あ、のせられてる。
爆豪くんはそう言うと、どっかり腰を下ろす。
まあ、いっか。
弟にのせられる爆豪くん、って、意外と単純なのかも。
お茶を用意してから、私は煎餅とお茶を爆豪くんの元に持っていく。
と、弟がムスッ、としている。
間違いない。
こいつ拗ねてる。
爆豪くんと話してばかりだったせいかわかんないけど、拗ねてる。
ぷうっ、と頬を膨らませている弟に笑いながら、私は弟の分のお茶とお饅頭を用意する。
弟がお茶をすすり始めたのを見て、私も腰を下ろす。
と、爆豪くんが笑って言った。
そう言ったかと思うと、爆豪くんは突然、私の背後に回る。
そしてそのまま、私のことを抱きしめてきた。
爆豪くんは意地悪そうな笑みを浮かべながら、私から離れる。
なんか、面白いもの見つけた子供みたい。
てか、いきなり抱きしめてくるのはやめてよ、弟じゃないんだから。
二人の間に挟まれながら、私は思う。
こいつら、二人セットにするとめんどくさい、と。
そんなことを考えていたせいか、私は気がつかなかったんだ。
爆豪くんが内心、自分が言ってしまったことに対して焦っていることに。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。