第401話

No.399
7,817
2021/04/02 09:15
あなた
あ、来た来た。入っていいよ
轟焦凍
おう、ありがとな







夕方。





寮に帰った私は、ある人物を部屋に招き入れていた。





ひとりは弟、もうひとりは...。







轟焦凍
爆豪、どうした?入んねえのか?
爆豪勝己
っせぇな、入るに決まっとんだろ







爆豪くんだ。





私が二人を部屋に入れたのは、ほかでもない。





仮免講習について話すためだ。







あなた
次の仮免講習の場所って、前とは違うところなんだよね?
轟焦凍
そうだな。相澤先生が引率してくれるのは変わりねえらしいが
あなた
うん。じゃあ、場所確認はこれでおしまいにして...







仮免講習組である私たち3人は、たまにこうしてひとつの部屋に集まり、反省会などを行っている。





まあ、今はただ次の講習の確認をしただけなんだけどね。







あなた
なんか話すことない?
爆豪勝己
ねえわ。帰る
あなた
あ、もう。ちょっと待ってってば







せっかく集まったのに。







轟焦凍
そうだぞ爆豪。あなたがわざわざ止めてくれてんだ。断る選択なんてねえだろ
爆豪勝己
なんっでてめぇはそんなにこいつに甘ぇんだよ!!
轟焦凍
?好きだからに決まってるだろ







爆弾発言投下すんのやめて。







爆豪勝己
...んで、なんだよ
あなた
せっかく来てくれたんだから、ちょっとくつろいでいきなよ。お茶菓子とか出すから
爆豪勝己
いらねえ
あなた
そう言わずにさ。ね?
轟焦凍
そうだぞ爆豪。まあ、お前がいらねえ、ってんならオレがお前の分貰うけど
爆豪勝己
いるに決まってんだろクソが







あ、のせられてる。





爆豪くんはそう言うと、どっかり腰を下ろす。





まあ、いっか。





弟にのせられる爆豪くん、って、意外と単純なのかも。







あなた
爆豪くん。お饅頭と煎餅、どっちがいい?
爆豪勝己
...煎餅
あなた
はーい







お茶を用意してから、私は煎餅とお茶を爆豪くんの元に持っていく。





と、弟がムスッ、としている。







轟焦凍
...







間違いない。





こいつ拗ねてる。





爆豪くんと話してばかりだったせいかわかんないけど、拗ねてる。







あなた
...焦凍の分もいれたげるから、拗ねないの
轟焦凍
!拗ねてねえ
あなた
はいはい







ぷうっ、と頬を膨らませている弟に笑いながら、私は弟の分のお茶とお饅頭を用意する。







あなた
はい、どうぞ
轟焦凍
...ありがと







弟がお茶をすすり始めたのを見て、私も腰を下ろす。





と、爆豪くんが笑って言った。







爆豪勝己
半分野郎てめぇ、拗ねとったんか
轟焦凍
拗ねてなんかねえ
爆豪勝己
どうだか、な。なら、これでもか?
あなた
は?







そう言ったかと思うと、爆豪くんは突然、私の背後に回る。





そしてそのまま、私のことを抱きしめてきた。







轟焦凍
!!なにやってんだ爆豪!
爆豪勝己
やっぱ拗ねるんじゃねえか
轟焦凍
拗ねてねえ!怒ってるだけだ!
爆豪勝己
へぇ...?
轟焦凍
とにかくあなたを離せ
爆豪勝己
へーへー







爆豪くんは意地悪そうな笑みを浮かべながら、私から離れる。





なんか、面白いもの見つけた子供みたい。





てか、いきなり抱きしめてくるのはやめてよ、弟じゃないんだから。







轟焦凍
あなたは俺んだぞ
爆豪勝己
どうだか。そのうち俺のもんになったりしてな
轟焦凍
絶対にならねえ







二人の間に挟まれながら、私は思う。





こいつら、二人セットにするとめんどくさい、と。







爆豪勝己
...







そんなことを考えていたせいか、私は気がつかなかったんだ。





爆豪くんが内心、自分が言ってしまったことに対して焦っていることに。

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