第495話

No.492
6,963
2021/05/10 15:43
あなた
す、すごい人...







舞台裏から観客席を見て、私は思わず呟いた。





だって、さっきのA組の出し物の時よりも遥かに人数が多いんだもの。





それも当然か、さっきのほんの一部で、今は全校生徒が集まってるわけだし。







拳藤一佳
ほんとすごいね...緊張してきちゃった







一佳ちゃんの言葉を聞いて、私は頷いた。





観客たちが今か今かと待っている中で、時間がきたらしい。





ミスコン実行委員であろう人が、アナウンスを始めた。







モブキャラ
きたー!
モブキャラ
待ってました!
モブキャラ(女)
楽しみー!







わあ、やばい、人多い。





こんな中でパフォーマンスするの...?





私が緊張している中で、ミスコンは開幕。





出場者の人たちが、次々と舞台でパフォーマンスを繰り広げていく。





今回のミスコンに出場する人は、私を含めて9人。





最後の方とはいえ、すぐに順番がまわってきちゃうんだ。





しかも、私の順番はあのミスコン女王の絢爛崎先輩の次だ。





だから、さっきからプレッシャーがすごいんだ。





私、こんなんでちゃんとパフォーマンスできるのかな...。







波動ねじれ
轟さん、大丈夫?
あなた
え、あ、はい







自身のドレスに身を包んだ波動先輩が、私に声をかけてくる。





慌てて返事をすると、波動先輩は私の顔を改めて覗き込んできた。







波動ねじれ
体調悪いとかじゃない?大丈夫?
あなた
はい、その点に関しては大丈夫です。ただ...
波動ねじれ
やっぱり、緊張してる?
あなた
!...はい







私は舞台でパフォーマンスを繰り広げている先輩を見ながら、口を開いた。







あなた
波動先輩は、一昨年からあんなに大勢の人たちがいる中で、パフォーマンスをしていたんですね。ほんとにすごいです
波動ねじれ
んー?そんなことないよ?







思わず顔を向ける。





波動先輩は私と目が合うと、にっこり笑った。







波動ねじれ
こういうのはね、楽しんだもん勝ちだよ!
あなた









"舞台に上がったらもう、後は楽しむ"









昨日の夜、響香ちゃんが言っていたことを思い出した。





そうだ、恥ずかしがってたらダメなんだ。





私はこの日のために、ちゃんと練習してきた。





だから、波動先輩の言う通り、恥ずかしがらずに楽しまなくちゃ。







あなた
...そうですね。ありがとうございます、波動先輩







練習してきた成果を、ここで発揮するんだ。

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