舞台裏から観客席を見て、私は思わず呟いた。
だって、さっきのA組の出し物の時よりも遥かに人数が多いんだもの。
それも当然か、さっきのほんの一部で、今は全校生徒が集まってるわけだし。
一佳ちゃんの言葉を聞いて、私は頷いた。
観客たちが今か今かと待っている中で、時間がきたらしい。
ミスコン実行委員であろう人が、アナウンスを始めた。
わあ、やばい、人多い。
こんな中でパフォーマンスするの...?
私が緊張している中で、ミスコンは開幕。
出場者の人たちが、次々と舞台でパフォーマンスを繰り広げていく。
今回のミスコンに出場する人は、私を含めて9人。
最後の方とはいえ、すぐに順番がまわってきちゃうんだ。
しかも、私の順番はあのミスコン女王の絢爛崎先輩の次だ。
だから、さっきからプレッシャーがすごいんだ。
私、こんなんでちゃんとパフォーマンスできるのかな...。
自身のドレスに身を包んだ波動先輩が、私に声をかけてくる。
慌てて返事をすると、波動先輩は私の顔を改めて覗き込んできた。
私は舞台でパフォーマンスを繰り広げている先輩を見ながら、口を開いた。
思わず顔を向ける。
波動先輩は私と目が合うと、にっこり笑った。
"舞台に上がったらもう、後は楽しむ"
昨日の夜、響香ちゃんが言っていたことを思い出した。
そうだ、恥ずかしがってたらダメなんだ。
私はこの日のために、ちゃんと練習してきた。
だから、波動先輩の言う通り、恥ずかしがらずに楽しまなくちゃ。
練習してきた成果を、ここで発揮するんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。