第635話

No.629
6,765
2021/08/21 10:41
轟焦凍
なあ
あなた
ん?
轟焦凍
さっき、親父になに頼まれてたんだ?







教室に入ってから、弟が問いかけてきた。





ちなみに教室には、私たち以外誰もいない。







あなた
えっと...内緒
轟焦凍
なんでだ
あなた
...なんででもだよ







お父さんにアカウント教えたなんて言えるわけないじゃん。





絶対怒るでしょ。







轟焦凍
まさか、親父に脅されたのか?
あなた
い、いや、そんなんじゃないけど...
轟焦凍
じゃあなんだ。言ってくれ







と、弟のスマホが通知を知らせる音をたてた。





なんか、嫌な予感が...。







轟焦凍
...







弟は自分のスマホを見て、無言になる。





その目が、どんどん冷めたものになっていく。





まさか...。





私はいてもたってもいられなくなって、弟のスマホを覗き込んだ。





そこには、







"時間あるか?"





"返事を待つ"







思った通り、父からのメッセージだった。







轟焦凍
...あなた
あなた
な、なに...?
轟焦凍
親父に、俺のアカウント教えたのか...?
あなた
...うん







これ以上は隠しても無駄だろう。





そう判断した私は、少し間をあけて頷いた。





とたん、弟は盛大なため息をつく。







あなた
ご、ごめんね。怒ってる?
轟焦凍
...別にお前が悪いわけじゃねえから、なにも言わねえよ。親父がお前を利用したことに俺は怒ってる







利用した、って...。





だってお父さんが頼んでも、あんたは絶対断るでしょーが。





そう思っていると、再び弟のスマホが音をたてる。







轟焦凍
...







"焦凍"





"元気か話"





"話を"







あなた
...返信しないの?
轟焦凍
...
あなた
してあげなよ
轟焦凍
...







弟は無言でスマホの画面を見つめたまま、動かない。





どうやら返信するかどうか葛藤しているようだ。







轟焦凍
...
あなた







結局返信せずに無言でスマホを仕舞ったのを見て、思わず声を上げる。







轟焦凍
...







弟はスマホを仕舞うと、じっ、とこちらを見つめてくる。





と思ったら、







あなた
!?んん、っ







突然、唇を合わせられた。





驚いて目を丸くする私をよそに、弟は舌をいれてくる。







あなた
ん、っ...にゃ、んでぇ...っ
轟焦凍
...







ぐっ、と胸板を押して離れようとするが、弟は離れるなといわんばかりに、手を私の後頭部に回して押さえつけてくる。







あなた
んぅ、しょう、とぉ...っ
轟焦凍
っ...







息が続かなくなって力なく胸元を叩けば、弟はやっと唇を離してくれる。





そのまま私の唇をぺろりと舐めると、身体を離した。

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