クソから舐めプに進化すんなや。
ちょっと落ち着こうか。
改めて考えてみると、今のこいつらにとって私たちは利用価値のある重要人物だ。
心に取り入ろうとする以上、本気で殺そうだなんて思っていないはずだ。
なら、方針が変わんないうちに早く逃げないとね。
そう言って笑ってみせる。
爆豪くんはニヤリと笑った。
どうやら、考えていることは同じらしい。
ヴィランたちがぶつぶつと言い出す中、爆豪くんが口を開く。
死柄木の手が、ぴくりと動いた。
そういったヴィランの方に、死柄木は目を向ける。
死柄木のその目を見て、私と爆豪くんは思わず固まる。
冷たい目だった。
蛇に睨まれた蛙の気持ち、って、こんな感じなのかな。
そう言って、死柄木は先程落ちた手のようなものを拾い上げる。
あの手、顔とかに結構身に付けてるけど、なんなんだろうね。
死柄木のその一言に、私は思わず耳を傾けた。
先生?
誰のこと?
ヴィラン連合のボスは、てっきり死柄木のことかとばかり思っていたけど。
違う、っていうの?
眠らせる?
ってことは、こいつが私を眠らせたやつか。
逃げるとしたら、隙をついて後ろのドアから逃げるしかない。
だけど、その隙をつくるために攻撃をしようにも、ワープを使ってくるやつが邪魔だ。
プロヒーローはまだなの?
爆豪くんがそう言って、私を庇うように前に立つ。
ぐいっ、と私の腕を引っ張り、後ろへと下がらす。
どうすれば。
いったいどうすれば、逃げられるの?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!