第426話

No.423
7,439
2021/04/06 17:39
爆豪勝己
俺を後片付けに使うたァなァ...!いいぜ、跡形もなく消し飛ばしてやる!!







そう言う爆豪くんだが、なんだかんだ言って片付けを手伝ってくれるのは本当に助かる。







現見ケミィ
なんだかんだやってくれるのヤバ、マジ謝意
夜嵐イナサ
みんなで遊んだらみんなでお掃除っス!!







夜嵐くんのひと言で、子供たち全員が大きな声でいいお返事。





それぞれほうきとちりとりを持って、氷を片付け始めた。







子供
ゴチ○コ。俺の個性なら氷の破片食べて消せちゃうんだぜ
轟焦凍
ゴチ○コじゃねえ、ショートだ。そうか







暴食魂とか言ってボールを投げてきた子が、弟に話しかけているのが見える。







轟焦凍
おまえの個性、都市災害レスキューで輝くんじゃねえか?
子供
輝くー!?輝くぞー!!







そんな会話を聞きながら、私は氷を溶かす作業を続ける。





今日は大変だったけど、結果的に上手くいってよかったな。







爆豪勝己
てめぇ、ガキ共にモテモテだったじゃねえかよ
あなた
えー、そんなことないよ







同じく氷を溶かす作業をしている爆豪くんが、手を動かしながら話しかけてくる。







あなた
でも爆豪くん、意外と面倒見よかったよね。兄弟とかいるの?
爆豪勝己
居ねえよ。俺ァ元からひとりだわ







へぇ、いるかと思ってたのに。







あなた
そっかぁ。でも、爆豪くんは将来いい旦那さんになりそうだよね
爆豪勝己
!!?
あなた
きっと奥さんも喜ぶんじゃないかな。家事もできるし子守りだって完璧だ、って







そう言いながら、私は作業を続ける。





爆豪くんが、なにか言いたげな表情でこちらを見つめていたことなど知らずに。









***









片付けが終わって、子供たちは帰る時間。







夜嵐イナサ
ありがとうございましたァアアア!!!
轟焦凍
またな







そう言いながらも、みんなは子供たちと戯れている。





と、先程の子が私の方に駆け寄ってきた。





私はしゃがみこみ、目線を合わせる。







子供
あのね、僕大きくなったらほむらみたいに強くなる!!
あなた
子供
そしたら、また会える...?







私は驚いて目の前にいる男の子を見つめた。





私のようになりたいと言ってくれる子がいるなんて、思わなかったから。





今までそんなこと、言われたことなかったから。





...少なくとも、私を目標としてくれるなら。





私はふっ、と微笑んで、目の前の小さな頭に手を乗せた。







あなた
きっと会えるよ。頑張ってね、応援してる
子供
ほんとに!?
あなた
うん







そう言うと、ぱあっ、と表情が輝いた。





と、







先生
そろそろ行きますよー!ほら、皆さんにご挨拶して







先生の声が聞こえた。





どうやらもう帰るみたい。







あなた
ほら、先生のところに戻りなさい。みんな待ってるよ
子供
うん!







そう言って駆け出していく背中を、私は黙って見送る。





が、くるりとこちらに体を向けると、ぶんぶんと大きく手を振ってきた。







子供
またねほむら!!
あなた
!...うん、またね







同じように手を振り返すと、その子は嬉しそうに笑った。





それから私たちも先生に「ありがとうございました」と頭を下げ、今日の仮免講習が終了した。

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