私たちの声とともに、炎と氷結が混ざり合い、大規模な爆音が轟く。
これ何回もやってると、体育館壊れちゃうかも。
ずっとそれをやっていたせいか、若干体が傾いた。
思わず声を上げると、弟も気がついたように声を上げ、私の体を受け止める。
相澤先生にひと言言って、私と弟はみんなから少し離れた場所に座る。
最近すぐにキャパオーバーしかけるから、なんとかしないとなぁ。
とにかく体力をもっとつけよう、んで、炎の威力も今以上に上げるんだ。
白炎は出せたから、次の目標は燈矢兄さんみたいな蒼炎だね。
隅っこで休憩していると、突然声をかけられて顔を上げる。
見れば、特田さんが私たちを見つめていた。
どうしたんだろ。
弟が尋ねると、特田さんは笑いながら答える。
特田さんは私と弟を交互に見てから、口を開いた。
絶句する私の横で、弟はきょとんとしている。
特田さんは納得したというように頷いた。
てか、苗字一緒だからまず最初にそれを考えるでしょ。
似てないからわからなかった、っていうのはもう聞き飽きたよ。
弟に目線を向けている特田さんを見て、気がついた。
彼の目は、なにかを探っているような、そんな目をしている。
新聞記者の人だから当たり前なんだろうけど、なんかちょっと、違和感があるというか...。
でもなにか企んでる様子もなさそうだし...。
なんなんだろ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。