第490話

No.487
6,937
2021/05/09 15:33
上鳴電気
寝れねー!!







上鳴くんや峰田くんが、そう言って騒いでいる。







芦戸三奈
静かに!寝てる人もいるから







それを見た三奈ちゃんが、二人に注意する。





まあ、今起きてる人は半分くらいだからね。







飯田天哉
みんな、盛り上がってくれるだろうか
耳郎響香
そういうのはもう考えない方がいいよ。恥ずかしがったり、おっかなびっくりやんのが、一番良くない。舞台に上がったらもう、後は楽しむ!







響香ちゃんがそう言うと、その言葉に反応した上鳴くんが突っ込んだ。







上鳴電気
おまえめっちゃ照れ照れだったじゃねえか!
耳郎響香
あれはまた違う話でしょ







いったいなにがあったんでしょ。





たぶんその時、私パフォーマンスの練習してたからわかんないんだよね。







轟焦凍
あなた、眠くねぇのか?
あなた
まあ、眠いっちゃ眠いけど...。もう少し起きてるつもり
轟焦凍
そうか。眠くなったら言えよ、俺が運んでやるから
あなた
それは遠慮しとく







冗談じゃないよ、もう。







轟焦凍
膝枕してくれねえか?
あなた
しません
轟焦凍
なんでだ
あなた
ここどこだと思ってるのよ







むくれるなむくれるな。





軽くため息をついて頭を撫でてやると、弟は嬉々とした目をこちらに向けてきた。





単純だな。







轟焦凍
今日一緒に寝よう
あなた
別にいいよ
轟焦凍
...え、いいのか?







あっさり受け入れた私に驚いたのか、少し間が空いてから弟が言う。





その間抜けすぎる表情を見て、思わず笑った。







あなた
ん、いいよ
轟焦凍
抱いていい、ってことか?
あなた
それは違う







なんでそうなったんだよ。







芦戸三奈
さぁて、そろそろガチで寝なきゃ







三奈ちゃんの言葉に反応し、みんなは立ち上がって欠伸する。





まあ、そろそろ眠くなってきたものね。





文化祭当日になって寝坊とかないようにしなきゃ。







切島鋭児郎
そんじゃ...!また明日やると思うけど、夜更かし組!ひとあしお先に...絶対成功させるぞ!!







切島くんのひと言で、全員が『おー!』と腕を高々と突き上げた。









***









轟焦凍
こんなに楽しみだと思った文化祭、初めてだ







部屋に行ってから、弟がわくわくを隠しきれないといった様子で口を開く。





珍しいな。







あなた
じゃ、その明日に備えて、もう寝よっか
轟焦凍
ん、そうだな







布団を敷いて、二人揃って横になる。





布団はひとつしかないから、一緒に入って寝るしかないんだ。





だからすごい密着してるの。







轟焦凍
お前と寝るの、やっぱ好きだな
あなた
そう?
轟焦凍
うん。あったけぇから
あなた
焦凍も自分で温めるじゃん?
轟焦凍
...そうじゃねえ、違ぇ







弟はそう言って私を抱きしめると、耳元で囁く。







轟焦凍
好きなやつと一緒に寝れて、嬉しくないわけねえだろ?
あなた
!バカ...
轟焦凍
ほら。そうやって照れるの、可愛いな
あなた
やめてよもう...







すぐに恥ずかしいセリフ言うんだから。





唐突な発言に私は顔を赤らめ、誤魔化すために弟の胸元をぽかぽかと叩いたのだった。

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