第527話

No.524
6,629
2021/06/19 15:15
爆豪勝己
おいあなた!!いるんか!!?







爆豪くんの声が耳に届き、はっ、とする。







あなた
爆豪くん!いるよ!焦凍も一緒!
爆豪勝己
無事か!?
あなた
私は大丈夫!でも焦凍が、焦凍が私のせいで怪我したの!!お願い、早く焦凍を助けて!!







泣きながら叫んだおかげか、爆豪くんは私の声で察したらしい。





焦ったような声で続けた。







爆豪勝己
いいか、てめぇらは変に動くんじゃねぇぞ。また瓦礫が崩れる可能性がある。俺が今から少しずつ瓦礫を退かしてやっから、大人しくしてろ。いいな?
あなた
わかった、お願い!







そう言ってから、思わず咳き込んだ。





たぶん、大声を出したせいだろう。







轟焦凍
大丈夫か、?
あなた
だ、大丈夫...







言いながら、弟を見つめる。





額の出血が酷い。





早く止血しなきゃ。





泣いている場合じゃないのに。







轟焦凍
安心しろ。お前は俺が守るから







先程とは違う温かな手が、私の髪に触れて優しく撫でていく。





その温かさに触れて安心したせいか、また涙がこぼれ落ちる。







轟焦凍
ちゃんと守り抜けなくて、ごめん
あなた
っ、そんなの、







もう十分、守ってくれたじゃない。





嫌になるほど守ろうとしてくれてたじゃないか。





自分を犠牲にしてまで、私を。







あなた
そんなの、十分すぎるくらいだよ...
轟焦凍
そっか







そう言うと、弟は弱々しく笑った。





ズキリと胸が痛む。





今すぐにでも抱きしめて温めてあげたいのに。





手が届く距離にいるのにも関わらず、瓦礫が邪魔でなにもできない。





それがもどかしくて仕方がなかった。







轟焦凍
なあ、あなた
あなた
なに?なんでも言って。私にできることならなんでもするから
轟焦凍
おぉ、それは嬉しいな







弟はそう言うと、私を見つめて口を開く。







轟焦凍
今日帰ったら、甘えてもいいか?
あなた
っ、







いつも通りの言葉が、また安心をもたらしてくれる。





私は涙をこらえながら、弟に笑いかけた。







あなた
いいよ、いつでもおいで
轟焦凍
ん...ありがと、な...







私の言葉に、弟は嬉しそうに笑った。





かと思ったら、スウッ、と表情が消えていく。





そして再び、弟の目が閉じられた。







あなた
焦凍?...ねぇ、焦凍...!焦凍ってば!







声をかけるが、弟は目を開けない。





どくどくと額から溢れる血を見て、不安から再び涙が溢れ出す。







あなた
爆豪くん!!早く、早く焦凍を助けて!!お願い!!







声を張り上げて、とにかく助けを求める。





今の私には、ただそれだけしかできなかった。

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