第283話

No.283
10,572
2020/12/25 11:23
あなた
は?








予想外の弟の行動に、私は思わず声を上げる。





そんな私に構わず、弟はスポーツドリンクを含んだまま、私の唇に指を当てた。





まるで、口を開けろとでも言うように。







あなた
え、ちょ、なに
轟焦凍
ん(口開けろ)
あなた
え、いや、でもそれって...








弟がやろうとしている行動に、私はさらに体温が上がる。





だって、それは恋人同士がやることでしょ?





姉弟でこんなこと、さすがに...。







轟焦凍
...








弟は一旦、口内に含んでいたドリンクを飲み込む。





それから躊躇っている私に顔を近づけ、耳元で低く、甘い声で囁いてきた。







轟焦凍
俺が飲ませてやるから、今は言うこと聞けよ。あなた、口開けろ
あなた








身体中に熱が集まる。





弟は私から顔を離すと、もう一度スポーツドリンクを口に含んだ。





えーい、こうなりゃヤケだ。





私は覚悟を決め、口を開ける。





そうすると、待ってましたと言わんばかりに、弟は唇を重ねてきた。







あなた
ん...っ








舌が入ってきたかと思えば、先程のドリンクを口内に流し込まれる。





入りきらなかったドリンクが溢れ、口の端から垂れた。







轟焦凍
...飲め








弟は唇を離すと、そう言って私の口の端を拭う。





ごくりと流し込まれたそれを飲み込めば、喉に潤いが戻ってきた。







あなた
...こんなことしなくても、自分で飲んでもよかったんだけど
轟焦凍
あんまり起き上がるとかえって治らなくなる。俺が飲ませた方が早いだろ








それをする度に風邪がうつるリスクが高まるのを知らんのか、こいつは。





思わずジト目で弟を見つめる。







轟焦凍
また飲みたくなったら言ってくれ。飲ませてやるから
あなた
...自分で飲むからいい







さっきのはもう懲り懲りだ。





これ以上やると私の身が持たないよ。







あなた
...焦凍
轟焦凍
なんだ?
あなた
寒い、
轟焦凍
なら俺があっためてやろうか?
あなた
うん...








再び弟は布団に潜り込んできて、私を抱きしめる。





左の個性を使っているのか、かなり温かい。







轟焦凍
...前までは、左の個性は嫌いだったし、絶てぇに使わねぇ、って思ってたけど
あなた
轟焦凍
お前をこうしてあっためてやれるなら、左も悪くねぇな








その言葉、お父さんが聞いたらきっと喜ぶよ。

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