第606話

No.601
6,008
2021/08/07 07:32
ホークス
俺は以上です。さァ、お次どうぞ。支持率俺以下、No.1







ホークスはそう言いながら、お父さんにマイクを差し出す。





それを無言で、表情を変えずに受け取るお父さん。





大丈夫かな。





これ、結構喋りづらい状況だよね。







轟焦凍
...
あなた
...







私を含め、みんなは固唾を呑んでテレビ画面を食い入るように見つめる。







エンデヴァー
若輩に煽られた以上、多くは語らん







そう言うと、お父さんは真っ直ぐ前を見つめた。







エンデヴァー
俺を、見ていてくれ







会場は静まり返ったままだ。





そんな中で、ホークスだけが拍手をしている。





彼の表情は相変わらず、なにを考えているのかわからなかった。









***









あなた
...







ヒーロービルボードチャートの中継が終わってからも、私はお父さんの言葉が頭から離れなかった。





あの言葉には、きっといろんな意味がある。





だから、どれが正解なのかはわからない。





ヒーローとして見ること、父親として見ること。





それだけじゃない、きっと他にも...。







轟焦凍
おい、あなたってば
あなた
!へ、あ、ごめん。なに?







突然呼ばれたことに驚いて声を上げると、弟は少し心配そうな表情でこちらを見つめる。







轟焦凍
特になにもねえけど、ぼーっ、としてただろ。なんかあったんじゃねえか、って心配になった
あなた
そっか、ごめんね
轟焦凍
いや、なにもねえならいいんだ







そう言うと、弟は微笑んで私の頭を撫でてくる。





ここ共有スペースだから勘弁して。







轟焦凍
...
あなた
あ、こら
轟焦凍
ん〜







弟は私の肩にもたれかかってくると、そのままずるずると下がっていって私の膝に頭を乗せてくる。





いや、ソファーに座ってるから痛いとかはないんだけどさ。





甘えるなら2人の時に、って言ってあるんだよ。







あなた
焦凍、ダメ。起きて
轟焦凍
やだ







子供か。





男子高校生がなに言ってんのよ。





寮の共有スペースで実の姉に甘える男子高校生なんて、聞いたことないよ。







瀬呂範太
お、またやってんなァ
上鳴電気
すぐイチャつくんだもんな〜
あなた
違うの2人ともこれは誤解で、
轟焦凍
俺とあなたは仲良いからな







違うそうじゃない。





No.1の息子がなにやってんのよ、ほんとにもう。







峰田実
また堂々とイチャつきやがって〜ッ!!
切島鋭児郎
落ち着け、って峰田







私は思わずため息をつく。





お父さん、この光景見たらどう思うんだろう。





「焦凍ォオオオ!!」って叫んでそうだよね。

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