現在、寮に帰って私の部屋。
レイと戯れていると、それを見ていた弟が私を呼ぶ。
素直に言うね、珍しい。
そう言いながら、弟は私に向かって両手を広げている。
さあ来い、とでもいうように。
軽くため息をつきながら、私は両手を広げている弟の元へと歩み寄り、抱きつく。
弟は驚いたように声を上げてから、ぎゅうっ、と私を抱きしめた。
愛してるなんて、言われたことないんだけど。
思わず顔を赤らめると、弟はそんな私の表情を見て満足そうに笑った。
弟は私を自分の膝に乗せたまま、こちらを見上げる。
膝の上に乗っているせいで、私の目線は弟より少し高い位置にあるんだ。
だから、いつもとは視点が逆転してるんだよね。
そう言いながら、私は弟の前髪を分け、額にキスを落とす。
と、弟は閉じていた目をぱちりと開けると、ぷっ、と不満そうに頬を膨らませて私を見つめた。
そう言ったかと思いきや、弟は私の後頭部に手を回して自分の方へと引き寄せ、唇を合わせる。
驚きのあまり思わず声を漏らすと、弟はそんな私の反応を見て、目を細める。
弟はそう言うと、私の鎖骨に顔を埋める。
そのままがぶりと鎖骨を噛まれ、私は思わず弟の背中に腕を回し、服を握りしめた。
私の鎖骨につけた痕を、つけた張本人である弟は愛おしそうに撫でている。
また絆創膏貼らなきゃじゃん。
そう言って、弟は私を見上げて微笑む。
こいつ、独占欲強いな。
そう思いながら、私は鎖骨につけられた痕を撫でた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。