第519話

No.516
6,750
2021/06/14 14:27
轟焦凍
なああなた







現在、寮に帰って私の部屋。





レイと戯れていると、それを見ていた弟が私を呼ぶ。







あなた
なに?
轟焦凍
ぎゅー、ってしてくれねえか?







素直に言うね、珍しい。







あなた
なにかあったの?
轟焦凍
別になんにもねえ。ただお前に甘えたくなっただけだ
あなた
ふーん







そう言いながら、弟は私に向かって両手を広げている。





さあ来い、とでもいうように。







轟焦凍
ダメか?
あなた
もう、そんなこと言ってないでしょ
轟焦凍







軽くため息をつきながら、私は両手を広げている弟の元へと歩み寄り、抱きつく。





弟は驚いたように声を上げてから、ぎゅうっ、と私を抱きしめた。







轟焦凍
あなた、好きだ
あなた
知ってる
轟焦凍
すげぇ好きだ
あなた
知ってるってば
轟焦凍
...愛してる
あなた
!っ、急すぎだよ







愛してるなんて、言われたことないんだけど。





思わず顔を赤らめると、弟はそんな私の表情を見て満足そうに笑った。







轟焦凍
照れてんのか?可愛いな
あなた
!またそうやって口説くんだから...
轟焦凍
口説くつもりはねぇぞ?







弟は私を自分の膝に乗せたまま、こちらを見上げる。





膝の上に乗っているせいで、私の目線は弟より少し高い位置にあるんだ。





だから、いつもとは視点が逆転してるんだよね。







轟焦凍
あなた
あなた
なに?
轟焦凍
キスしてくれ
あなた
もう、甘えんぼなんだから







そう言いながら、私は弟の前髪を分け、額にキスを落とす。





と、弟は閉じていた目をぱちりと開けると、ぷっ、と不満そうに頬を膨らませて私を見つめた。







轟焦凍
キスする場所違ぇぞ。ここだろ
あなた
ん、っ!?







そう言ったかと思いきや、弟は私の後頭部に手を回して自分の方へと引き寄せ、唇を合わせる。





驚きのあまり思わず声を漏らすと、弟はそんな私の反応を見て、目を細める。







あなた
もう...。レイが見てるよ
轟焦凍
関係ねえ。あなたは俺のだ







弟はそう言うと、私の鎖骨に顔を埋める。





そのままがぶりと鎖骨を噛まれ、私は思わず弟の背中に腕を回し、服を握りしめた。







轟焦凍
...すぐ消えちまうな、この痕







私の鎖骨につけた痕を、つけた張本人である弟は愛おしそうに撫でている。





また絆創膏貼らなきゃじゃん。







あなた
これさ、つける意味ある?
轟焦凍
あるに決まってるだろ。これがあれば他の男は近づかねぇし、お前は俺のモンだって示せるからな







そう言って、弟は私を見上げて微笑む。





こいつ、独占欲強いな。





そう思いながら、私は鎖骨につけられた痕を撫でた。

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