朝。
いつも通りの時間に、目が覚める。
と、
すぐ目の前に弟の顔。
そういえば、一緒に寝たんだっけ。
結構強引だったけど。
返事なし。
軽く動いただけ。
起きろや。
遅刻すんだろが。
私は弟を見て、軽くため息をついた。
にしても、ホントに綺麗な顔してるよねこいつ。
どうやったらそんな美貌が出来上がるのか知りたいよ。
顔のパーツが全部素晴らしい位置に揃ってんだもん。
まあ、お母さんが美人だからね。
お父さんは.....うん。
って、こんなこと考えてる場合じゃないや。
そんな態度とるんだね、よくわかった。
じゃ、奥の手を使いますか。
そう言った途端、弟は物凄いスピードで布団から起き上がった。
言葉ってすごいね。
これからはこれを使おう。
起きたかと思えば、私に寄りかかるようにして抱きついてくる弟。
支度させてよ、遅刻する。
今日林間合宿なのに遅刻したらヤバいでしょーが。
眠そうにぽやっ、としている弟。
これ以上構っていると時間がなくなるので、放っておく。
慌てて自分の部屋に行き、制服に着替える。
持ち物は確認済みだから、心配ないはず。
さっさと準備を済ませ、朝ごはんを食べにリビングに行く。
相変わらず健康な朝ごはん。
やっぱりいつ見ても美味しそう。
一週間は、お姉ちゃんのご飯食べられないのか。
ちょっと寂しい。
そんなことを話していると、制服に着替え終えた弟がリビングに入ってくる。
寝癖だらけじゃん、だらしないよ。
まだ眠そうだし。
ふわぁ、と大きくあくびをしながら、弟はゆっくり朝ごはんを食べ始める。
結構時間やばいってのに、よくそんなにトロトロ食べられるな。
そう言って食器をシンクに運び、洗面所に行く。
顔を洗って歯を磨き、髪を整える。
たぶん、縛ってる時間はないと思うから、バスの中で縛ろう。
とりあえずアイロンしなきゃ。
ま、自分の手を温めてアイロン代わりにするんだけどね。
いい個性だよ。
いつものヘアバンドをして、弟は顔を洗う。
前髪とか意外と長いから、水がかかって濡れちゃうんだよね。
だから、こうやってヘアバンドしてるんだ。
...私の所有物なんだけどね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。