第550話

No.545
6,665
2021/07/04 03:12
轟焦凍
30回、か...
あなた
...







相澤先生が部屋を出ていってから、弟がぼそりと呟く。





さ、30回もキスなんて...。





いや、弟がキス魔になる個性かけられた時よりマシだけどさ。







轟焦凍
簡単だな、30回だけなんて
あなた







なんてことを考えていると、弟はゆっくりとした動作で私を押し倒す。





それから私と目を合わせ、不敵に笑う。







轟焦凍
な?あなた
あなた
っ、







ドSの時の顔だ...。





差恥から顔を真っ赤にする私を見て、弟はクスクスと笑う。







轟焦凍
まずは、1回
あなた







ちゅ、と音をたてて、弟は私の額にキスを落とす。





そうだ、場所は指定されてないから、唇意外でもいいんだ。





ずっと唇にキスなんてされたらたまったもんじゃない。





これなら耐えれる、かな。







轟焦凍
2回目







それから3回目、4回目、と。





1回やるごとに数を数えながら、弟はあちこちにキスを落としていく。





てか、先生が部屋に来る前に、もう何回かやってるんだよね。





だからそこまでしなくても、そろそろ元に戻るはず...。







轟焦凍
...
あなた
...しょーと?







そんなことを考えていると、突然、弟はキスをするのをやめて、私をじっ、と見つめる。





しかも無表情。





なんか、怖いんだけど。







あなた
どうし...っ!







尋ねようとすると、弟は自分の人差し指で、私の唇に触れる。





それから驚いている私を見て、ふっ、と笑った。







轟焦凍
相澤先生が来る前に、もう何回かしてるからな。たぶん、これで最後だ







ふに、ふに、と弟は人差し指で私の唇に触れながら、こちらをじっ、と見つめる。





そして、私の耳元に自身の唇を寄せ、囁いた。







轟焦凍
"30回目"
あなた
ん、っ







心地よいテノールボイスが鼓膜を振動する。





と思ったら、お互いの唇が重なった。





その時だ。





ボムッ、と小さな爆発音のようなものが響くと同時に、私の体がピンク色の煙に包まれた。







轟焦凍







弟は驚いたように唇を離し、私を見つめる。





それから何回か瞬きを繰り返したと思ったら、ふわりと笑った。







轟焦凍
よかった、ちゃんと元に戻ったな







その言葉を聞いて、私は自分の体を見つめる。





手のひらや足、他にも腕の長さなど。





体の大きさが、すべて元に戻っていた。

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