第518話

No.515
6,720
2021/08/13 15:35
芦戸三奈
ねぇ轟!そのままついでにあなたのこと口説いてみて!
轟焦凍
?わかった







まて、なにを言い出すんだ。





ただでさえ恥ずかしいってのに。







轟焦凍
あなた







そんな中、はっきりと名前を呼ばれる。





弟は私の耳元に唇を寄せ、囁いた。







轟焦凍
ドレス姿、綺麗だ。すげぇ似合ってる、可愛い
あなた







一気に顔に熱が集まる。





女子たちは黄色い声を上げ、男子たちは歓声を上げる。





...峰田くんは、なぜか歯ぎしりしてるけど。







轟焦凍
これでいいのか?
芦戸三奈
バッチリ!!







心臓に悪いよ、ほんとに...。





羞恥から顔を真っ赤にして手で顔を覆うと、弟が私を抱き上げたまま小さな声で言った。







轟焦凍
どうした?大丈夫か?
あなた
だ、大丈夫じゃない...
轟焦凍
大丈夫じゃねえんなら、保健室行くか?







そういう意味で言ったんじゃないんだよ。





私は顔から手を離して、弟を見つめる。





顔を真っ赤にしている私を見て、弟は大きく目を見開いた。







あなた
...意味、これでわかったでしょ
轟焦凍
っ、あ、ああ。わかった
あなた
あんたのせいだからね
轟焦凍
悪ぃ、







そう言うと、弟は私から目をそらして頬を紅潮させる。





ちょっと、なんであんたまで顔赤くしてんのよ。







あなた
っ、なんで照れてんのよ
轟焦凍
や、その、なんかだいぶ恥ぃことしちまってると思って...







そう言いながら私を降ろし、弟は手の甲で赤くなった顔を隠す。





...こんな時でもこいつは絵になるな、なんて考えちゃう私は馬鹿だ。







瀬呂範太
姫と轟、顔真っ赤じゃん
麗日お茶子
お互いに照れとるみたいやね
耳郎響香
もうカップルじゃんか、あれ
八百万百
微笑ましいですわね







あーもう。





なんかみんなにやにやしてこっち見てるし。





一佳ちゃんはきょとんとしてるし。





穴があったら入りたいよ。







波動ねじれ
轟さーん!拳藤さーん!写真撮影するからこっち来てー!
拳藤一佳
あ、はい!
あなた
い、今行きます...







波動先輩の呼ぶ声が聞こえ、私と一佳ちゃんは返事をしてそちらの方に向かおうとする。





が、一佳ちゃんを追いかけようとする私の腕を、弟が掴んだ。





思わず振り返る。





弟は顔を赤らめたまま、私を見つめていた。





やがて、少しだけ私の腕を引っ張って自分の方へと寄せ、耳元で囁く。







轟焦凍
...さっきのはお世辞なんかじゃねえ。ほんとに綺麗だし、可愛いと思ってる
あなた
轟焦凍
それだけ言いたかったんだ







そう言うと、弟は私から離れる。





私は弟を見て、ふっ、と口元を緩めた。







あなた
...ありがとね、焦凍
轟焦凍
おう。ほら、写真撮影行ってこいよ
あなた
うん







そう言ってから、私は波動先輩たちの方へと歩き出した。





口元が緩むのを抑えられないのは、弟には内緒だ。

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