第160話

No.160
15,626
2020/10/16 11:26
あなた
あんた、自分がなにしてんのかわかってる?
轟焦凍
押し倒してるだけだろ?
あなた
わかってんなら離れて
轟焦凍
離れたら逃げるじゃねえか
あなた
当たり前じゃん








距離近すぎ。





手首痛てぇよ。







轟焦凍
あなたお前、無防備すぎだぞ
あなた
普通でしょ
轟焦凍
普通じゃねえ








あんたが異常なだけでしょーが。





そもそも姉弟でこんなことやってんの、私たちぐらいだよ。





早く離れてくれないと寝れないんだけど。







あなた
離れて
轟焦凍
一緒に寝てくれんなら離れる
あなた
だめ








頑固として譲らない私を見て、弟はニヤリと笑った。







轟焦凍
確かお前の弱点は...ここだったか?
あなた
!!?な、!








そう言って突然、弟は首筋にふぅっ、と息を吹きかけてきた。





急なことに、思わず体が反応する。







轟焦凍
あとは、脇腹もだったよな
あなた
ひゃ、っ








こ、こいつ...。





まじで許さないからな。





あとで覚悟しやがれちくしょう。







轟焦凍
反応可愛いよな。見てて飽きねぇ
あなた
やめっ、てよバカ!!触んないで、っ!
轟焦凍
一緒に寝るって言うだけでいいんだぞ
あなた
だめ、って言ってんでしょ!
轟焦凍
...なら次はここだな








こんのド変態。





いい加減にしろや。





睨みつけようとすると、弟が突然、私の唇に指で触れた。







あなた
!?
轟焦凍
次はここだな
あなた
ま、またドッキリでしょ?冗談でしょ?
轟焦凍
悪ぃけど、今回は冗談じゃねえ。本気だ








弟の真剣な瞳に、私は顔をこわばらせた。





え、え?





それってつまり...







あなた
ま、ままま待って!?
轟焦凍
待たねえ。無理だ








弟は私を見つめたまま、ゆっくりと顔を近づけてくる。





くっそ、面が良いな。





って、そんなこと考えてる場合じゃない。







あなた
ねえ私たち双子!姉弟!
轟焦凍
だからなんだ
あなた
いやこういうのはダメでしょ!
轟焦凍
姉弟愛、ってあるだろ。それと一緒だ
あなた
いやそれはそうだとしても!!








え、だってダメだよね?





私、おかしいこと言ってないよね?







轟焦凍
お前の唇、柔らかそうだよな
あなた
な、なに言ってんのよ!








ふに、ふに、と私の唇に触れながら、弟は言った。







轟焦凍
顔真っ赤だぞ
あなた
あんたのせいだわ!!








誰か助けて。





けど、助けてくれる人はここには居ない。





なら、もうこうするしかないのか。







あなた
い、一緒に寝るから...早く離れて
轟焦凍
お、わかった








はぁ...。





結局こうなるのか。





と、







轟焦凍
チッ...








弟から、小さな舌打ちが聞こえた。





え、なんで舌打ちしてんの。





怒ってんの?







轟焦凍
早く寝るぞ、あなた
あなた
...はいはい








怒ってはいないみたい。





そう言いながら布団に入った弟は、こっちにこいといわんばかりに、こちらに向かって手招きをする。





はいはい、行けばいいんでしょ行けば。







轟焦凍
おやすみ
あなた
...おやすみ








弟に抱き枕にされながら、私はなんとか眠りについた。

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