距離近すぎ。
手首痛てぇよ。
あんたが異常なだけでしょーが。
そもそも姉弟でこんなことやってんの、私たちぐらいだよ。
早く離れてくれないと寝れないんだけど。
頑固として譲らない私を見て、弟はニヤリと笑った。
そう言って突然、弟は首筋にふぅっ、と息を吹きかけてきた。
急なことに、思わず体が反応する。
こ、こいつ...。
まじで許さないからな。
あとで覚悟しやがれちくしょう。
こんのド変態。
いい加減にしろや。
睨みつけようとすると、弟が突然、私の唇に指で触れた。
弟の真剣な瞳に、私は顔をこわばらせた。
え、え?
それってつまり...
弟は私を見つめたまま、ゆっくりと顔を近づけてくる。
くっそ、面が良いな。
って、そんなこと考えてる場合じゃない。
え、だってダメだよね?
私、おかしいこと言ってないよね?
ふに、ふに、と私の唇に触れながら、弟は言った。
誰か助けて。
けど、助けてくれる人はここには居ない。
なら、もうこうするしかないのか。
はぁ...。
結局こうなるのか。
と、
弟から、小さな舌打ちが聞こえた。
え、なんで舌打ちしてんの。
怒ってんの?
怒ってはいないみたい。
そう言いながら布団に入った弟は、こっちにこいといわんばかりに、こちらに向かって手招きをする。
はいはい、行けばいいんでしょ行けば。
弟に抱き枕にされながら、私はなんとか眠りについた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。