第38話

No.38
23,965
2020/09/06 04:45
轟焦凍
あなた
あなた
ん?
轟焦凍
なんで俺、こんな格好なんだ?
あなた
仕方ないでしょ。こうする方法しかないんだから








麦わら帽子を目深に被っている弟が、訝しげに私を見つめる。





私が考えた作戦は、変装。





とは言っても、弟には麦わら帽子を目深に被ってもらうだけで十分なんだけどね。





あとは、







あなた
はい、これ








そう言って私が渡したのは、サングラス。





弟は少し眉を顰めながらも、サングラスを受け取って身につける。





お、意外と似合ってんじゃん。







轟焦凍
なんでサングラスまでつけんだ
あなた
あんた、とにかく目立つのよ。オッドアイだし、紅白頭だし
轟焦凍
紅白頭ってなんだ
あなた
その髪の色。綺麗に赤と白で分かれてるし、そんな髪の色の人、中々いないでしょ








ちなみに私は伊達メガネ。





弟は私が被っていた麦わら帽子と、さっき百均で買ってきた安物のサングラス。





私はともかく、弟は特徴的なところが多いから、とにかく目立つ。





暑いだろうけど我慢してくれよ。







轟焦凍
あなたは帽子、被らなくていいのか?
あなた
うん。私の髪色は別に珍しい、ってわけでもないからね








私の髪色は、お母さんと同じ白。





個性は炎を使うのに、なんで白なんだろ。





てっきり、お母さんの個性を受け継ぐと思ってたんだけどね。







あなた
さ、行こっか
轟焦凍
おう








それからしばらく人混みの中を歩いていたけど、特に問題はなかった。





声をかけられることもないし、作戦成功かな。







轟焦凍
なに買うんだ?
あなた
うーん。絶対必要って物は大体家にあるし、ちょっとブラブラしながらのんびり見よっか
轟焦凍
そうだな








二人でブラブラとショッピングモールを歩く。





いろとりどりのお店がたくさん並んでいて、すぐに道に迷いそう。





と、







あなた
ねぇ、ちょっとここ寄っていい?髪留めが欲しいんだけど
轟焦凍
おう、わかった








店内は綺麗に飾り付けられていて、とてもお洒落。





かなり女の子向けのお店だけど、弟は大丈夫だろうか。





ちらりと弟を見ると、興味深そうに商品を眺めていた。





こいつは天然だから、あんまりこういうのは気にしなさそうだな。







轟焦凍
なあ、あなた
あなた
ん?
轟焦凍
これとかどうだ?
あなた
却下








ドヤ顔で弟が持ってきたのは、色がド派手なシュシュ。





なに持ってきてんだあんたは。





そんなの付けれんわ。







あなた
私はシンプルなのがいいの
轟焦凍
シンプルか...。








弟はぽつりと呟くと、店内の奥へと姿を消した。





弟のセンスって、どうなってるんだろ。





また変なの持ってこなきゃいいけど。

プリ小説オーディオドラマ