第72話

過去〜祐とテツ〜
2,053
2020/03/24 11:05
だけど、小学生になると陽太は公園に来なくなった。

陽太とは学校が違うから会う方法もなかった。


祐美の嫌がらせは家の中だけでは終わらなかった。

私と仲のいい友達に『家で○○ちゃんの悪口言ってたよぉ?』とデマを流し、私の友達を1人…また1人とうばい取られた。

幼い私は、どうすれば誤解ごかいけるのか分からなくて、うつむくしかなかった。


いつしか私は、学校でも独りぼっちになっていた。

その頃から、祐美と同じ顔を人に見られたくなくて前髪で顔をかくしていた。


家にも学校にも私の居場所はない。

大好きだったアキくんとも会うことができない。

精神的に限界を迎えた私は…死にたいと思った。
使われていないビルの屋上に行き、フェンスを飛び越えた。

『やっと楽になれる』『これで解放される』
そんなことを思っていた私に恐怖心はなかった。

目をつぶり、足を踏み出した。

体が宙に浮き…“やっと解放される”と思った瞬間しゅんかん、後ろに強く引かれた。

宙に浮いた体は、元いた場所に戻されてしまった。

テツ
バカ野郎!!死ぬ気か!?
目の前に怒っている男子高校生がいた。

そんなことより私は、死ねていない現実に絶望していた。
テツ
お前まだ小学生だろ?
テツ
死ぬには早すぎる
その男子高校生は泣いていた。

なんで、この人が泣いているのか分からなかったけど…我慢がまんしていた何かが壊れたように私も泣いた。

プリ小説オーディオドラマ