第48話

罰。
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2019/11/26 10:28
笹本 奏多
笹本 奏多
陽太、今は冷静れいせいに話すべきです
笹本がそう言うと、陽太は私をにらみつけて渋々しぶしぶ手を離した。

やっと肺に空気を取り入れることができたけど
息苦しさのあまり、床に座り込んでしまう。

そんな私に、ゴミを見るような視線を向けてくる幹部たち。
松原 佑
松原 佑
(……ウザイな)
松原 佑
松原 佑
(白銀を潰してやろうか…?)
そんな考えがチラリと脳裏をよぎる。
笹本 奏多
笹本 奏多
大がかりで捜索そうさくしたのに見つからなかったなんて初めてですよ。
笹本 奏多
笹本 奏多
あなたはどこにいたのですか?
笹本奏多。
副総長なだけあって、1番冷静に話ができるみたいだ。
松原 佑
松原 佑
(佑美を好いてはなさそうだな)
永瀬が言うから、仕方なくしたがっているのだろう。
松原 佑
松原 佑
…言う必要ありますか
私の物言いがしゃくさわったらしく、永瀬と陽太が殺気を向けてきた。


一応、怖がっているふりをする。
吉田 陽太
吉田 陽太
佑美はずっと心配してたんだぞ!
吉田 陽太
吉田 陽太
迷惑かけるのもいい加減にしろよ!
笹本 奏多
笹本 奏多
陽太、冷静になってください
吉田 陽太
吉田 陽太
冷静になれるかよ!
陽太が苛立ちをぶつけるように誰も座っていないイスを蹴り飛ばすと、いきおいよく私の足に当たった。

それと同時に航が動き出そうとしたので、目頭手を止める。


私を助けることは、白銀を裏切ること。
まだ航の出る場面ではない。
永瀬 湊
永瀬 湊
この前、忠告ちゅうこくしたの覚えているな?
永瀬 湊
永瀬 湊
それでもお前は、佑美に対していじめを
やめなかったらしいな。
松原 佑
松原 佑
(こいつら、佑美のいい玩具おもちゃになっていることに気づかないなんて…滑稽こっけいだわ)
永瀬 湊
永瀬 湊
佑美が許しても、俺が許せない
そう言うと、永瀬は私を乱暴に引きずって外へ出た。
幹部部屋のドアが閉まる瞬間、佑美が奥の部屋から顔をのぞかせた。
松原 佑美
松原 佑美
…さよならヾ(⁎•ᴗ‹。)フリフリ
そのゆがんだ笑顔に気づいたのは、私と航と笹本だけ。
永瀬 湊
永瀬 湊
おい、5人ほど出てこい!
永瀬が叫ぶと、下っ端の中でも体格の大きい男が5人出てきた。
永瀬 湊
永瀬 湊
この女が二度と佑美に手を出せないように痛めつけろ。
白銀(下っ端)
うっす!!
永瀬が、乱暴に私を5人の前に放り投げた。


陽太は、今から起きることが嬉しくて仕方がなさそうに笑っている。

笹本は、複雑そうな顔をしている。

そして、航は…今にも飛び出してきそうだ。
白銀(下っ端)
佑美さんにしてきたこと、そのまま返してやるよ。
白銀(下っ端)
お前がしてきた罰だ。
白銀(下っ端)
不細工ぶさいくがきめぇんだよ。
5人がゆっくりと距離をちぢめてくる。

憎々にくにくしそうに私を睨みつける。


今からこんな奴らに殴られなきゃいけないのかと思うと、憂鬱ゆううつになる。

でも、これさえ終われば面倒事が片付く。
少し我慢すれば全て丸く収まるんだ。

大きく息を吐いて覚悟かくごを決める。

倉庫に来た時点で、こうなることは分かっていた。
松原 佑
松原 佑
(大丈夫…)












永瀬 湊
永瀬 湊
始めろ。

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