高嶺と笹本のアイコン変えました〜!by作者
私は教室に戻り、鞄を持って走り出す。
今は1分1秒が惜しい。
足を止めて高嶺に視線を向け、そして睨みつける。
いつもの虐められる地味女の演技をやめ、殺気を出して睨んだことに動揺しているようだ。
後ろからは戸惑った声が聞こえたが、振り返ることなく教室を後にした。
学校を出て近くの公園の公衆トイレに入る。
鞄に常備している大きめの黒いパンツと黒のトレーナーに着替え、ダサいウィッグを外す。
すると露わになるベリーショートの銀髪。
男みたいに短く切られた髪、太陽に照らされると白にも見える銀髪。
これが私の本当の姿だ。
男物の服を身に着けて、口調も男になり、振る舞いも男っぽくなる。
私は急いで荷物をまとめて、全力でまた走り出す。
全身黒い服の男が猛スピードで走っているから怪しいのだろう。
すれ違った人達が目を見開いている。
借りている駐車場に着き、バイクのエンジンをかける。
黒を基調としたシンプルな大型バイクは私専用だ。
ブォォンとエンジンを吹かして、バイクを走らせた。
江原組に手を出したら恐ろしい目に遭うと知らしめてやる。
車の間をスルスルと抜け、次々と追い越す。
すると、後ろからパトカーのサイレンが聞こえ「前のバイク止まりなさい!」と追いかけてきた。
バイクのスピードを更に上げると、パトカーも負けじとついてくる。
私は方向変換して、路地裏に入る。
路地裏は入り組んでいるため、慣れた人でないと迷子になってしまう。
私は手慣れたように左右にくねくねと曲がりパトカーを撒いた。
更にスピードを上げて先を急いだ。
30分かかる道のりが、15分で本家に着くことができた。
江原組とは、日本のトップに立つ極道のこと。
私は江原組の組員をしている。
大きな門を潜り敷地に入ると、聞こえてくる怒鳴り声と、骨と骨がぶつかり合う音。
そして、銃声。
既に倒れている者もいる。
近くにいた組員のテツに向かって叫ぶ。
テツの周りを取り囲んでいる敵5人。
1人を殴り気絶させる。
1人が私に気づいて銃口を向けてきたので、発砲される前にソイツを蹴り飛ばす。
残りの2人を巻き込んで2メートルくらいぶっ飛んだ。
最後の1人はテツが倒した。
敵は傘下の四宮組。
前々から怪しい動きをしていると思っていたが、裏切られるとはな。
50人以上の下っ端と幹部5人が攻め込んできたらしい。
それに対して江原組は若頭と幹部1人、下っ端30人くらいしか動ける者がいなかった。
かなり押されている状況。
向かってくる男達をなぎ倒す。
何人、手にかけただろうか……。
手応えのない敵ばっかり。
人数だけ無駄に多くてイライラする。
倒れている人も多く、思うように動くこともできない。
組員の声を聞き、急いで中庭に向かった。
敷地内にある広い中庭、そこには鯉が泳ぐ池もある。
私が駆けつけると、若頭の江原春樹、幹部の草津拓海の姿を見つけた。
周りに15人ほどの組員と敵の下っ端が倒れていた。
若と草津さんと向かい合うように、敵の幹部が5人立っている。
若が私に視線を向けることなく答えた。
若と草津さんは敵を見据えている。
そんな挑発に若が驚いて目を見開いたが、次の瞬間には無表情になり相手を見据えていた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。