俺は捨て子だった。
誰にも愛されずに生きてきた。
だから、人一倍家庭や結婚願望が強かった。
貢げば、そばにいてくれる。物を与えれば一緒にいてくれると思って、借金までした。
俺は耳が良いから嘘くらい見抜ける。
でも毎日のように女の子に騙され続けた。
信じたい人を信じたから。
この子は愛されたんだ。俺とは違って。
家族に死ねって思うことあるんだ。俺には居たことがないから、わからない。
この子と結婚したかった。
あなたちゃんは嘘を吐かなかった。騙そうとしない。笑った顔が可愛くて、優しいし、気遣いができる。
貢ごうとすると止められる。本当は憧れているのも分かっている。欲しいって思ってるんでしょ?音で分かるよ?女の子は綺麗なものとか可愛いものとか好きだよね。
借金してること知ってるからかな。だから止めてくれるのかな。
料理はおいしいし、よく俺の好物の鰻を買ってきて作ってくれる。
借金取りだ!
あいつらあなたちゃんまで連れていくのかよ!
ダメだ!行っちゃ!あなたちゃんまで遠くへ行ってしまうのかよ!
言いたいけれど声にでない。
俺のために離れるんだ。俺が駄目だから。やっと愛してくれる人を見つけたのに、何もできない。俺はとんだ馬鹿だ。愚図だ。弱味噌だ。こんな阿呆はいない。
自分を犠牲にしないでくれ。お願いだから、俺のためにそんなことしないで。
ほなみちゃんはそう呟いた。
しばらくしてじいちゃんに拾われた。
そして鬼殺隊に入った。
というか無理やり入れられた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。