一人の男の子が座ってた。
気づけば声をかけていた。
私は家族がいない。
殺されたから。
特別悲しい訳じゃなかった。
両親とも私のことを愛してなかった。
私が醜いから。雪のように白い髪に血のように赤い瞳。
妹の方が優秀で、なんでもできて、器量だって良い。だから妹が愛された。
妹が名門の女学院に通う代わりに私が働いた。
私は名前も付けられなかった。
妹がちょうど帰ってきていたとき。私は妹の学費のために出稼ぎにいっていた。帰ったら家族が死んでいた。血塗れだった。
私は嬉しかった。あなたって、可愛くて私に似合うのかな。
初めて言われた。私のことを受け入れてくれる。
私はそんな君が好きだった。
彼は借金をしてた。それなのに、私に貢ごうとする。困ってるの知ってるよ?
そして幸せは壊された。
私を売ることにしたみたいね。借金取り。
別に怖くない。彼のためになるなら、なんでもする。
彼は涙を流しながら引き留めてくれた。
そういうところだよ?そうやってやさしいから騙されちゃう。
でもそんな君が好きなんだ。私は君が幸せになるなら、それでいい。
私はそう静かに言った。
私は売られた。そこでお母さんとお父さんに出会った。
そして私は藤の家紋の家の娘として、今も暮らしている。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!