暑さが続く毎日。
最近付き合い始めた年下の彼からの急な誘い。
大人になってから、浴衣なんて着た記憶がない。
だから、幻滅されたらと不安ばかり募っていく。
...⭐︎
お祭りの数日前、、。
近くの商業施設に向かい、浴衣を買いに行っていた。
でも、、柄や色合いがさまざまで決まらない。
鏡で当てても、結論が出ない。
新調するんだから、壱馬に喜んでもらいたい。
それとなく電話をかけた。
彼には全てお見通し。
色々迷ったけど、淡い水色の浴衣を選んで買った。
...⭐︎
お祭りの当日。
予約の時間に合わせて美容院に向かう。
新調した浴衣を着付けてもらい、派手すぎない髪型にまとめてもらう。
慣れない下駄を履いて、歩いていると思ったより時間がかかり待ち合わせに遅れてしまう。
急いでベンチに座る彼のところに、駆け寄る。
顔から足元までじっと見られてる。
そっと手を握られ歩き出す。
...⭐︎
待ち合わせで気づいたこと。
壱馬も浴衣を着てくれていたこと。
手を握りながら、屋台が並ぶ道を歩いていく。
お店のおじさんにポイをもらう。
水槽に入れ、金魚を掬おうとするがすぐに逃げられ穴が開く。
得意げな顔を見せる彼。
その器には数匹の金魚が入っていた。
そう意気込んだはいいものの、何回かやったけどうまく行かなくて、、。
覆い被さるように持っていたポイを掴み、一緒に掬う。
彼の声が耳元で話すから、心臓の音聞こえてしまうんじゃないかって思うほど恥ずかしくなってしまう。
金魚をもう一匹おまけで入れて渡してくれた。
それから歩いてると、いいにおいが漂う。
食い時張ってて、なんだか恥ずかしくなる。
近くにあった屋台の綿飴を一つ買う。
口の中で甘くて溶けていく。
持っていた棒を渡そうとすると、その手を掴まれそのまま口が近づく。
間には綿飴があるけど、キスしてるかのように顔が近いことに恥ずかしくなる。
それから二人で一つのカキ氷を食べる。
口を開けて待つ壱馬に小さなスプーンで食べさせる。
少し強引に入れられたカキ氷。
口元についたシロップをペロっと舐められる。
やること全部にドキドキしてしまう。
でも、当の本人は気にしないでいるようだった。
それから時間も経ち、花火が上がり始める。
そう言って連れてこられたのは、少し離れた小さな丘の上。
誰もいなくて、一望できる場所。
ベンチにさっと、ハンカチを出して敷いてくれた。
少しすると、大きな花火が上がっていく。
そっと腰を引き寄せられる。
二人で花火を見てるけど、光で明るくなる彼の横顔が見える度惚れ惚れしてしまう。
逃げようと彼から少し離れようとしてもすぐ捕まる。
そのまま引き寄せられ、強引に唇が重なり合う。
何度も角度を変えながら、さらに深く重なり合う。
息もできないほど、熱いキス。
気づけば花火が終わり、静かさに戻っていた。
唇が離れた後も余韻が残っていた。
ベンチから立ち上がろうとすると、手を掴まれる。
真夏の夜は始まったばかり、、。
掴まれた手を握り直し、2人その場わ離れていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。