第25話

鎖×川村壱馬
2,604
2022/05/20 23:04
壱馬
壱馬
俺が怖くないのか、、?
(なまえ)
あなた
怖くない、、
壱馬
壱馬
なぜ、、
(なまえ)
あなた
分からない...。
(なまえ)
あなた
でも、ただあなたのそばにいたい、、。
壱馬
壱馬
俺は、、明日殺される。だから、もう、、
(なまえ)
あなた
私が、、させない。
壱馬
壱馬
、、、。
...⭐︎
数ヶ月前、城にある一人の男が囚われた。

目が赤く、人間とは思えないほどの力を持つという。

地下牢獄の中、彼は一人で囚われていた。

みんなが寝静まった私はいつものように一人で城の中を歩く。

いつもなら行かない場所なのに、今日は吸い込まれるように足が向く。
壱馬
壱馬
誰だ、、
(なまえ)
あなた
あ、、あのっ
壱馬
壱馬
お前は、誰だ、、
(なまえ)
あなた
私っ、、あなたって言いますっ。
壱馬
壱馬
あいつの、、娘か。
(なまえ)
あなた
あなたが、お父様が言ってた野獣?
壱馬
壱馬
野獣、、か
(なまえ)
あなた
あっ、ごめんなさい。それに、こんな鎖っ
壱馬
壱馬
もういい、、。もう慣れた。
(なまえ)
あなた
え?
壱馬
壱馬
どこに居ても、俺は邪魔者だ。この目を見るだけで誰もが俺を毛嫌いした。もう、うんざりだ、、
(なまえ)
あなた
そんなことないよ
壱馬
壱馬
、、え?
(なまえ)
あなた
その瞳、きれい
壱馬
壱馬
怖くないのか?
(なまえ)
あなた
怖い?なんで、、?
壱馬
壱馬
みんなは、、俺の目を見れば怖い、、気持ちが悪いと、化け物扱いする。
鉄格子の外から彼の手をそっと触れる。
壱馬
壱馬
、、っ!
(なまえ)
あなた
同じ、、。私たちは何も変わらない、、
壱馬
壱馬
でも、俺は、、
(なまえ)
あなた
誇りに持っていい。素敵な目、私は好きだよ
壱馬
壱馬
、、変なやつ。
...⭐︎
あれから彼が気になり、何度もあの場所へ足を運ぶ。

人目を盗んで、、何度も。

するとある日、お父様にそれがバレてしまう。
お父様
お父様
なんで、俺の言うことを聞かないんだっ!
腕を、足を、頬を、、力で、自由を奪われる。

暴力という名の鎖で、逃れられない。
それでも、何度でも、彼の所に足が向く。

ただ、ただ、、彼に会いたくて、、。
壱馬
壱馬
その傷、、どうした、?
心配されたくなくて、服で隠してたはずだったのにすぐに見つかってしまう。
(なまえ)
あなた
ここに来てるのバレて、、それでお父様に、、っ
壱馬
壱馬
あいつ、あなたにもっ
(なまえ)
あなた
いいの、、仕方ないことなの。
壱馬
壱馬
仕方ないわけっ、、
(なまえ)
あなた
私も同じ、、
壱馬
壱馬
え、、?
(なまえ)
あなた
あなたのように囚われの身。ここからは出れない。だから、一緒
壱馬
壱馬
、、、
(なまえ)
あなた
ねぇ、もし、ここから出られたら何がしたい?
壱馬
壱馬
そうだな、、俺の国の桜がみたいかな
(なまえ)
あなた
え、、?桜?
壱馬
壱馬
もしかして見たことないのか?
(なまえ)
あなた
本でしか見たことないの。私も見たいな、、
壱馬
壱馬
じゃあ、あなたも来るか?
(なまえ)
あなた
えっ、いいの?
壱馬
壱馬
ああ。でも、その前にこの鎖なんとかしないとな
(なまえ)
あなた
どうしたらいい?
壱馬
壱馬
鍵があるはずなんだ。それさえあれば、、
(なまえ)
あなた
私が盗んでくるっ
壱馬
壱馬
出来るのか?
(なまえ)
あなた
壱馬のためなら、なんだって出来るから
壱馬
壱馬
明日の朝、俺は殺される。だから、それまでに青い羽のついた鍵持って来れるか?
(なまえ)
あなた
やってみる、、
...⭐︎
彼のためならなんだって出来る。

厳重に保管されてるお父様の鍵箱。

寝ている横を通り、そっと入る。

でも、彼の言っていた鍵は見つからない。
(なまえ)
あなた
どこだろう、、?
思い返せば、お父様が首から何かをかけていた。

寝室に向かえば、まだ眠っている様子。

首元から小さな鍵が一瞬見えた。

そっと、、そっと、、。
お父様
お父様
何している、、?
気づけば冷たい目で私をみるお父様。

いつもなら怖くて動かない身体。

でも、今しか彼を助けられない。

お父様の鍵を奪い、その場から走り出した。
お父様
お父様
あ、おいっ!
後ろから兵士も多く追いかけてくる。

急いで彼のところに向かった。
(なまえ)
あなた
かずまっ、逃げてっ!
投げた鍵は鉄格子の中に入ったものの鎖で囚われた彼の手には届かない。
{お嬢様っ、!}
追ってきていた兵士に捕まえられる。
(なまえ)
あなた
離してっ、、、
大柄な兵士に捕まれて身動きが取れない。
すると後から追いかけてきた父親に捕まってしまう。
お父様
お父様
お前ってやつは、いつもいつもなぜ俺の言う通りにしないんだっ!あいつといい、お前といいっ!
強い力で腕を掴まれ逃げれない、、そう思っていたら、どこからか風が吹き牢獄の火が急に消えた。
壱馬
壱馬
、、、
瞬く間なくカラスがやってきたかと思うと、彼の周りを取り巻く。
{ば、化け物っ!}
カラスが一気にいなくなれば、囚われていたはずの彼の鎖がなくなっていた。

そして、黒い大きな羽が彼から見えた。
壱馬
壱馬
あなた、行くぞっ
(なまえ)
あなた
え?
強い風が吹いたと思えば、周りの人達が飛ばされていく。

彼に抱きしめられ、空に浮かぶ。
お父様
お父様
待てっ、、おいっ!
壱馬
壱馬
行くぞ
(なまえ)
あなた
うんっ
彼に包まれれば、自然と安心できた気がした。
...⭐︎
目を覚ますと、知らない場所にいた。
(なまえ)
あなた
ここは、、?
壱馬
壱馬
俺の国だ、、
(なまえ)
あなた
きれい、、
見上げれば綺麗なピンク色の花が一面に咲いていた。
壱馬
壱馬
あれが、桜だ、、
(なまえ)
あなた
桜、、、か。私、この花好き。
壱馬
壱馬
俺も、好きだ
(なまえ)
あなた
そっか
壱馬
壱馬
その、、あなたのことも、、
(なまえ)
あなた
ん?
すると、どこからか遠くで彼を呼ぶ声がした。
男性
男性
壱馬様っ!壱馬様っ!戻られたのですね!大丈夫でしたか?!
壱馬
壱馬
ああ。
男性
男性
あの、、そちらは、、、?
壱馬
壱馬
俺の大事な人だ
男性
男性
え、、もしかして、、人間ですか?
壱馬
壱馬
あなたは野蛮なあいつらとは違う。何より、俺のこと命がけで助けてくれたからな。
(なまえ)
あなた
そんな、私はっ
男性
男性
失礼しました。あなた様でしたね。壱馬様を助けてくださってありがとうございますっ。お二人とも疲れていますでしょうしお部屋でゆっくりしてください
みんなから驚くように見つめられる。
(なまえ)
あなた
私、、ここに居て平気なの?
壱馬
壱馬
当たり前だ。俺らは“同じ”なんだろ?
(なまえ)
あなた
そうだったね
連れて行かれたのは、大きな城。
(なまえ)
あなた
もしかして、、壱馬は、王様なの?
壱馬
壱馬
まぁ、、実際は俺の父親が王だからまだなんだけど、いずれな、
大階段から降りてきた優しそうな男性が降りてきた。
国王
国王
壱馬、大変そうだっみたいだね
壱馬
壱馬
まぁな
国王
国王
君が、あなたさんか?
(なまえ)
あなた
は、はい、、
国王
国王
そうか、そうか笑
壱馬
壱馬
んだよ、、
国王
国王
血は争えないな笑
(なまえ)
あなた
え?あの、、
王様は私に近づいてそっと手を握ってくれた。
国王
国王
あなたさん、、息子を助けてくれてありがとう
(なまえ)
あなた
いえ、、私も壱馬さんに助けてもらいましたから。
国王
国王
そうか、、。まぁ、ゆっくりしていきなさい。
彼の部屋に連れていかれると、優しく抱きしめてくれた。
壱馬
壱馬
怖い思いさせて悪かったな。
(なまえ)
あなた
そんなことない、、とてもカッコよかったよ
壱馬
壱馬
本当か?
(なまえ)
あなた
うん//
壱馬
壱馬
ここ痛むか?
頬に手を伸ばして触られる。
(なまえ)
あなた
大丈夫だよ、少ししてたら治るから。
壱馬
壱馬
待ってろ
ソファに座り、そっと撫でられると痛かったはずのアザは消えていた。
(なまえ)
あなた
え、、?どうやったの?
壱馬
壱馬
まぁ、色々な笑笑
(なまえ)
あなた
ありがとう
壱馬
壱馬
きれいな顔が台無しになるからな
(なまえ)
あなた
何言って//
壱馬
壱馬
、、お前と、あなたと出会えてよかった。
(なまえ)
あなた
私も、、連れ出してくれてありがとう
壱馬
壱馬
愛してる、、あなた
(なまえ)
あなた
私もっ
髪を耳にかき上げられ、見つめたままそっと唇が重なる。

柔らかくも温かい初めて味わうキス。
壱馬
壱馬
これから、俺たちはずっと一緒だ。
(なまえ)
あなた
うん、、。ずっと一緒。そばにいたい、、
壱馬
壱馬
当たり前だ。
その優しい言葉で孤独だった私が解放されて行くような気がした。

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