前の話
一覧へ
次の話

第19話

じゅーなな
983
2021/07/23 08:01
角名side


瀬戸が降りてから、俺はイヤフォンを耳に付けて、前彼女にオススメされた、あるアーティストのアルバムを流し始めた。


今頃瀬戸も同じように音楽を聴いていることだろう。



ぼんやりとしていると、あっという間に駅に着いた。

俺はカバンを肩にかけ、電車を降りる。


改札口を出れば、見慣れた風景が目の前に広がった。



俺は帰路を辿りはじめた。





ほんと、瀬戸ってバカ。




鈍感。



鈍臭い。



頭悪い。



すごい怖がりだし、



めちゃくちゃビビり。



なのにすぐ強がるし、



認めようとしないし、



我慢する。



嘘つく時、目擦るし、



楽しい時とか嬉しい時、手を後ろで組む。



美味しそうに食べるし、



髪サラサラ。



目も、綺麗な二重。



アイスとか冷たいもの大好きだけど、



猫舌で熱いもの食べれない。



印象とは違って家庭的で、



自分のことより人のこと。








俺、なんでこんなに君のこと知ってんだろうね。




写真のフォルダだってさ、ほら。


君ばっかり写ってるんだよ。




おかしな話だよね。




前まで侑とか治の写真ばっかだったのにさ。


写真のフォルダも頭ん中も、あっという間に君でいっぱいになっちゃった。



君はいつでも、俺に愛を伝えてくれる

あなた
すなりん!好きやで!
あなた
めっちゃ好き〜
あなた
大好きっ
いつも

「俺も好き」

って、答えそうになる。



でもその度、自分を殴りたくもなる。
角名倫太郎
角名倫太郎
あっそ
角名倫太郎
角名倫太郎
知ってるし
角名倫太郎
角名倫太郎
君、ホントに俺の事好きだよね
いつでもこんな返ししか出来なくて。














だって、だってさ








君の「好き」と俺の「好き」はきっと違う。






本当ははっきりと言えばいい。


「そういうこと言わないで」って。



でもそれができないのは、俺がその言葉を聞いて少しでも嬉しく感じているから。





意味わかんない。






家のドアを開けて、中に入る。



その瞬間、俺はドアを背にしゃがみこんだ。




耳に流れてくる曲に君の「好き」を感じて、


スマホで君の幸せそうな寝顔を見ながら、






角名倫太郎
角名倫太郎
…………あなた、好きだ、よ





その声は寂しく、夜の闇に吸い込まれていった________。

プリ小説オーディオドラマ