第25話

二十一話※シリアス注意
23,064
2020/02/23 16:05
ころん
ころん
僕…僕ぅ…!!
目からボロボロと大粒の涙をこぼしながら、ころんはなにかを訴えかけてきた。
ツカツカとさとみと莉犬が寄っていく。
莉犬くん
莉犬くん
ころちゃん!
…また、“奴隷市場”のことを
思い出して悲しくなった?
さとみ
さとみ
俺のために命を捨てないで。
俺達には、ころんが必要だよ
…なにいってるんだろう?
私には理解出来ていなかったが、段々と
思考がクリアになってきて、とある村人の話を思い出した。
あなた

奴隷市場。
人間魔物関係なく攫い、商品にされる…それはおよそ人間の価値で1000万から五億の間で売られるはずだ。

ななもり。
ななもり。
…あれ、奴隷市場について
何か知ってるの??
あなた

あくまでも、聞いた話だが

うーむ、と腕を組む。
もうころん達は大泣きでさとみは背を撫でてなだめている。
なにか関連する話があるのか??
あなた

なにがあった?

るぅと
るぅと
…詳しくは、ちゃんとあの三人から話を聞いてあげてください
重々しい顔でそう返された。
ジェル
ジェル
あなたやもん。
教えるのが…一番いいと思うで
さとみ
さとみ
あぁ、もちろん
莉犬くん
莉犬くん
これは、一緒に過ごしていく
上で…隠せない事実だから。
ころん
ころん
僕達の…というか、皆の
過去についてね。



しばらくすると、目を赤く腫らしたころん達一行がやってきた。
一段落したようで、心はもう決まったようだった。いいのだろうか、私なんかのよそ者に。でもそれを聞くと、いいのだ、とすぐに返されてしまった。





過去編…ころん

ぽつり、ぽつりと語り出す。
ころん
ころん
…僕の種族はわかると思うけど
悪魔じゃん。人間の間では
“チート”と呼ばれる魔法を使い
こなし、代わりに命を削る、珍しい生き物だったわけだ。
頷きもせず、皆はじっと聞いている。
ころん
ころん
一人で洞窟に、鍛錬しに
出かけてたときのことだった…
今でもよく覚えてるよ。魔力を
封じる袋を被せられて、視界も
定まらないまんまで何処かの
知らない場所に連れてかれた…
あなた

それが、奴隷市場だった…と?

ころん
ころん
うん…でも一人じゃなかった
そういってチラリと見やったのは、莉犬だ。
莉犬くん
莉犬くん
そう…俺も似たような手口で捕まえられたんだ。しかも、愛玩道具として売りに出されていたんだ…
猿轡に手錠、ボロボロの服を着せられて…
性癖がヤバそうな奴に買われるかなって
思ってたんだけど。と莉犬は付け足す。
ころん
ころん
そこで僕達を救ってくれたのが
さとみくんだったんだ。
それで、僕達は誓った…
「この命が尽きるまで、この方
に尽くす」ってね。
莉犬くん
莉犬くん
でも、さとみくんはこんな
ことを言って笑ってたなぁ。
「お友達になってくれるんじゃ
なかったの??あれれ??」
って、すっとぼけてさ。
思い出して、悲しそうに、寂しそうに、でもどこか幸せそうに笑った。その複雑な表情に、私はなにも言えずにいた。

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