目からボロボロと大粒の涙をこぼしながら、ころんはなにかを訴えかけてきた。
ツカツカとさとみと莉犬が寄っていく。
…なにいってるんだろう?
私には理解出来ていなかったが、段々と
思考がクリアになってきて、とある村人の話を思い出した。
うーむ、と腕を組む。
もうころん達は大泣きでさとみは背を撫でてなだめている。
なにか関連する話があるのか??
重々しい顔でそう返された。
しばらくすると、目を赤く腫らしたころん達一行がやってきた。
一段落したようで、心はもう決まったようだった。いいのだろうか、私なんかのよそ者に。でもそれを聞くと、いいのだ、とすぐに返されてしまった。
過去編…ころん
ぽつり、ぽつりと語り出す。
頷きもせず、皆はじっと聞いている。
そういってチラリと見やったのは、莉犬だ。
猿轡に手錠、ボロボロの服を着せられて…
性癖がヤバそうな奴に買われるかなって
思ってたんだけど。と莉犬は付け足す。
思い出して、悲しそうに、寂しそうに、でもどこか幸せそうに笑った。その複雑な表情に、私はなにも言えずにいた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。