魔術書を読んで勉強していた頃、るぅとが
部屋まで呼びに来た。
るぅとは親切にも、風呂場まで連れて行ってくれた。
それはね…敵に回したら一番ヤバいやつだと思ってるからだよ…!!
とりあえず中に入ると、そこはまるで帝国の銭湯のような場所だった。
コイツら、ほんとよくわからない所凝ってるなぁ…w
っていうかおどろおどろしくないしwww
いい匂いの石鹸(未使用)を重りにして、手紙が置いてある。
なんか、沢山風呂がある。すごい…
ヤバい看板を見つけてしまった!
露天風呂!すごいぞこれは!!
しかも天然水!美肌効果!!
お洒落に興味はないが、お風呂には目がないのだ…!!
上機嫌で体と頭を洗う。
最初は花湯かな。
花びらこそ浮いてないものの、華やかな香りが今日の色んな出来事を忘れさせてくれる…
なのに。
気の抜けた鼻歌が聞こえてきた。
この声…まさか…
ころんだぁぁぁぁぁ!!
ヤバいよ!!男の人入ってきた!!
嘘でしょぉぉぉぉぉぉ!?←気が動転してる
岩のベンチだったのが不幸中の幸いってやつだった。小柄だったのも幸いして、隠れる
ことが出来たのだ。
アイツ…変なやつだなw
あんなご機嫌で気の抜けた鼻歌歌うやつ、
むしろなかなかいないぞ?
驚きすぎて足が釣り、溺れる。
ころんが駆け寄ってきた。
魔法でふわっと体がうき、岩のベンチに座らされる。
カァァァッと赤くなっていく。
それに釣られて私も赤くなってしまう。
互いにタオルを巻いているものの、目の
やり場に困る。
ころんは細いくせに、美しい、適度な筋肉があった。だからといって上半身を見続けるのは耐えられないし、恥ずかしくて顔も見れない。多分、それはころんも同じなのだろう。
お互いに沈黙が続いていたが、沈黙を破ったのはころんだった。
パチン。
ころんが指を一度鳴らすと、花湯の横に桜の木が生えてきた。
と言ってもそんなに立派な太いものではなく細く凛とした気だったが。
花びらがヒラヒラと舞い落ち、水面に波紋をたくさん作っていった。
幻想的な光景に目を、奪われていた。
言葉が出ずにころんを見やると、
イタズラっ子の笑みで返されてしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。