第14話

第十一話
28,782
2020/02/21 12:08
るぅと
るぅと
任務ご苦労さまです~
あなた

可愛い顔してボケるな。
そしていつそんな任務受けた

ジェル
ジェル
ほんまごめんな。
大変やったろ~
あなた

色んな意味でな

はぁ、と一つため息をつく。
お前たちも女になって、さっきみたいな目にあえばいいのに。
莉犬くん
莉犬くん
よし、なーくん運ぼー
ジェル
ジェル
おーし、やるかぁ
ふたりでヒョイッと持ち上げる。
やはり魔物にしては軽いのか、簡単に
持ち上がった。
るぅと
るぅと
僕はここの片付けをしますね。うわぁ、派手にやったなこれ…
ボソボソと呟きながら片付けに入る。
ころん
ころん
僕はジェルくんたちの荷物、
部屋に持っていこっかなぁ
これまた軽そうによくわからないカバンやらなんやらを持ち上げてどこかに去って
しまった。
私はるぅとを手伝うつもりでいた。
しかし、行こうとしたところで腕を
引っ張られる。
あなた

どうしたんだ…さとみ

さとみ
さとみ
ちょっと、話しよ
なんだか、拗ねたような顔をしているので、廊下に出て話すことにした。
さとみ
さとみ
あのさ…見てたんだよね
あなた

…へっ?

思わず素っ頓狂な声を出す。
さとみ
さとみ
ほら、場内に目玉が
ふよふよ浮いてるじゃん
あなた

あぁ、そういえば

魔王…いや、さとみを倒しに城に入った時に最初に目についたのは目玉だった。
なんだあれ、気持ち悪いな…と。
さとみの説明によると、アレは人間の貴族が使う「防犯カメラ」というものの代理だそうだ。すべての部屋や廊下に一匹おり、
常に録画しているのだとか。
あなた

随分と有能なものを持っていると
いうのに…もっと有効活用しろよ

例えば、さっきの所で助けにくるとか。
そう不機嫌そうに言うと、ごめん、と小さく言ったのが聞こえた。
いや、ガチで謝られると…変な感じだな。
あなた

さとみ…お前、魔王だよなw?

さとみ
さとみ
い、一応魔王だけど…
キョトンとした顔で見返してくる。
よくよく見てみれば、私のイメージしていた魔王とは一風変わっている。
もっと禍々しく、ずる賢い悪。
声はガラガラで超低く、話すことだけで大地がゆれる、みたいな。

でも全然違った。
純粋で優しくて、感情の上下が半端ない。
声は男にしてはキレイで、常に少し鼻に
かかった甘い声である。
村や帝国にこんないい声の美男子がいたら…モテまくりだというものだ。
あなた

ふ、くくくっ…あははっ

さとみ
さとみ
どしたの急にw
あなた

いや…魔王らしくない魔王だなぁと

今思えば、なんでこんなやつが倒されなきゃいけないんだろう。
よくよく考えてみれば、コイツらが犯した罪なんて私を捕らえたことくらいだ。
それ以外に何かをしたこともない。
倒す必要なかったりして…ね。

…あれ、私洗脳されてる?
戦闘意志を削ぐ、新手の会話系魔術だったりして?
そんなことにまた笑ってしまい、なんだが…ほのぼのとした空気になっていった。

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