第13話

第十話
30,140
2020/02/21 12:08
どうしよう。動けない。
ニマーッと笑う彼は、満足そうな、嬉しそうな…まるで、欲しいおもちゃを買って
もらった幼児のようだった。
ななもり。
ななもり。
それじゃ、遊ぼっか
あなた

…なにするんだ?

ななもり。
ななもり。
んーとぉ…こういうこと?
ななもりは私の手首を片手で固定すると、
空いている手ですぅっと頬をなぞった。
あなた

っ…/////

恥ずかしくなってきて、視線を逸らす。
対抗する手段がない限り、落ち着いて援軍(?)を待つしかないだろう。
そう思っていたのもつかの間。
ななもり。
ななもり。
ねぇ…なんで目ェ逸らすの?
あなた

え?

視線を逸らしたままだった。
でもこんな状況で顔を向けられるわけない!
ななもり。
ななもり。
こっち見て?
あなた

はわわわわ!!
なんだあのイケメン男子!!
そこらの女とは違って面食いじゃないけど、アレにはやられるぅぅっ!!

チラリとも顔を見られなくなってしまった私は、目をつぶった。
それはそれはもう、ギュッと。
ななもり。
ななもり。
…俺のこと、嫌い?
あなた

きっ、嫌いじゃないが…

慌てて反論しようとして顔を向ける。
そして私は固まった。


…近い。その距離わずか10センチ。
そこでバチッと目が合ってしまったのだ。
思わず、また顔を逸らして同じ姿勢に入る。

あぁ、顔から火が出そうってこういう感じ
なんだ。心の底からそう思った。
ななもり。
ななもり。
…もう、怒ったから
あなた

へ?ひぅっ/////

ピチャリ。
反応するより先に、首筋を舐められる。
卑猥な音と共に、ななもりの舌先が私の首をなぞっていく。
生々しいものが首筋を這い、徐々に上に
上がっていく。
あなた

ななもりっ…ふ…くぁ…/////
やめろぉ…/////

ななもり。
ななもり。
いい鳴き声だねぇ。
もっと聞かせて?
あなた

ゾクリ…嫌だぁ/////

低い声が頭の中で反響する。
耳元で囁かれ、もうたまったもんじゃない。
っていうか鳴き声ってなに?
意外とS属性なの?あなたは。

そんなことを考えていたが、だんだんとそのくすぐったさに思考がストップしていった。
あなた

ぅ…あ…/////

ななもり。
ななもり。
ピチャッ…ペロッ…
あああ!!
さとみ…莉犬くん…るぅと…なんならジェルでも、ヤギ悪魔でもいい!
あなた

早く…助けに来いよっ…!!

助けを懇願するのは初めてだ。
でも、今回ばかりはそれしかないと思った。
…しかし。

ドサッ
あなた

うわっ…重い

唐突にななもりが倒れ込んできた。
なんだろうか。
力も抜けているのでやっぱり重い。
いや、このくらいの魔物にしては軽いな。
そう思っていると、ようやく救助が来た。
ころん
ころん
大丈夫!?
あなた

大丈夫なら、もっと早く眠らせてる

さとみ
さとみ
…ごめんな、嫌な思いさせて
悲しそうな目で私を見る。
私に指図したり悲しんだり…なんだこいつ。
喜怒哀楽激子杉(きどあいらくはげしすぎ)くんって呼んでやるぞ。
※あなたなりに出木杉くんによせたようです。

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