第11話

第八話
29,775
2020/01/03 10:34
あなたside
それぞれが思い思いのものを食べている時。
私は食べ終えてダージリンティーを啜った。
すると。
ななもり。
ななもり。
うわぁぁ♡
るぅと
るぅと
どうしたんですか?なーくん
ななもりが唐突に大きな声を出した。
その手には、中にジャムの入ったチョコが。
ななもり。
ななもり。
これがねぇすんごく美味しいの
目がとろんとしてきた。
お酒でも入っているのだろうか?
頬を紅潮させ、うっとりとチョコを見つめるなーくん。
すると、さとみが一言。
さとみ
さとみ
退散!
あなた

は、はぁぁ!?

ななもりと私を残し、行ってしまった。
なんだなんだ?急に退散ってなに?
あまりの出来事に、一人呆然とする。
すると、近くの瓶から音がした。
近づいて耳を澄ますと、さとみの声がした。
どうやらスピーカーになっているらしい。
さとみ
さとみ
急に出ていってごめん。
あなたにお願いがあるんだけど
あなた

なんだ?
訳が分からないのは癪だ、早く言え

少し間が空いたあと、さとみが口を開いた。
さとみ
さとみ
…なーくんの中の、マタタビを取り除いて欲しいんだ。
あなた

マタタビ?

確かにマタタビは猫を酔わせるという。
しかし…なぜ?そう問うと、今度はジェルが答えた。
ジェル
ジェル
俺の不注意なんよ…
イチゴジャムの洋酒入りチョコのはずが、マタタビチョコに
してしまったんよぉぉぉ!!
あなた

うるさいうるさい。
マイク越しに叫ぶな

キーンという音がして、私はギュッと眉根を寄せた。不快な音は嫌いだ。
っていうかマタタビチョコなんてものがあるのか。今度の戦闘で使ってみようか?
そんなことをのんきに考えていたせいで、
後ろに忍び寄る気配に気がつけなかった。
ななもり。
ななもり。
あなた~♡
あなた

のわっ!?

ガタッゴトッ
椅子から滑り落ちる。
痛いなんて弱音は吐かないが…状況に驚く。
あなた

おい…なな、もり?

ななもり。
ななもり。
なぁに?
にこーっと笑う。
その目は虚ろで、とろんとしてる。
多少なりとも目が潤んでいるのが愛らしい…じゃなくて!!

ななもりは私の上にまたがって、嬉しそうにしっぽを揺らしている。私は身動きが
取れないので、どうしようも出来ない。
ころん
ころん
あなた?大丈夫?
あなたーーー!?
あなた

うるさいぞヤギa…じゃなくて
ころん。早くマタタビを取り除く
方法を教えてくれ。

莉犬くん
莉犬くん
マタタビはねー、厄介なんだよ。頑張ってね?
あなた

そんなことは気にしないから早く!

取り除き方よりも今の状況の方を
どうにかしたい!!
るぅと
るぅと
眠らせるんです!
さとみ
さとみ
そう。
なーくんは暴れると眠気が
襲ってきて冬眠をしちゃう
タイプの猫又なんだ。だから
勇者サマの力を借りたい。
あなた

なるほどな。
戦っちゃえばいいのか?

そう尋ねた瞬間ツボ型スピーカーが飛んだ。

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