あなたside
それぞれが思い思いのものを食べている時。
私は食べ終えてダージリンティーを啜った。
すると。
ななもりが唐突に大きな声を出した。
その手には、中にジャムの入ったチョコが。
目がとろんとしてきた。
お酒でも入っているのだろうか?
頬を紅潮させ、うっとりとチョコを見つめるなーくん。
すると、さとみが一言。
ななもりと私を残し、行ってしまった。
なんだなんだ?急に退散ってなに?
あまりの出来事に、一人呆然とする。
すると、近くの瓶から音がした。
近づいて耳を澄ますと、さとみの声がした。
どうやらスピーカーになっているらしい。
少し間が空いたあと、さとみが口を開いた。
確かにマタタビは猫を酔わせるという。
しかし…なぜ?そう問うと、今度はジェルが答えた。
キーンという音がして、私はギュッと眉根を寄せた。不快な音は嫌いだ。
っていうかマタタビチョコなんてものがあるのか。今度の戦闘で使ってみようか?
そんなことをのんきに考えていたせいで、
後ろに忍び寄る気配に気がつけなかった。
ガタッゴトッ
椅子から滑り落ちる。
痛いなんて弱音は吐かないが…状況に驚く。
にこーっと笑う。
その目は虚ろで、とろんとしてる。
多少なりとも目が潤んでいるのが愛らしい…じゃなくて!!
ななもりは私の上にまたがって、嬉しそうにしっぽを揺らしている。私は身動きが
取れないので、どうしようも出来ない。
取り除き方よりも今の状況の方を
どうにかしたい!!
そう尋ねた瞬間ツボ型スピーカーが飛んだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。