るぅとくん、ビール瓶持ってね?
この世界にビール瓶なんて持ち込んできて
いいの?
あれ?なんでなんで??
近くでなーくんのちびネコと戯れていた
莉犬くんは、僕を見て爆笑している。
下を見ると…あれ。
僕…全裸なんじゃね!?
いつの間にやら来ていたジェルくんが、頬を掻きながら近づいてくる。
軽くキレかけながら叫んだ。
好きな子にヤル前から見られて嬉しいと思う変態はそうそういないでしょwww
っていうかヤレるどころか両想いにすら
なれるかもわかんないのにwww
なんかもうカオス空間になりかけていたので想像の服を出して、着替える。
とりあえず今はあなたに会いたい。
なぜか無気力な莉犬くん達に見送られ、僕は部屋を後にした。
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廊下の向こうに、あなたを見つけた。
でも声はかけずに、立ち止まる。
グッと拳を握る。
あなたとさとみくんは楽しそうに笑いながら
話している。
その場にいるのが耐えられず、僕は逃げ出してしまった。
あなたの声と、さとみくんの声。
二人とも僕のことを心配する声音だ。
でもちょっと心境と顔がグチャグチャすぎたんだよ。
合わせる顔がない…一回ひこう。
好きになっちゃ、いけない人。
結ばれるはずないよな、勇者サマとなんて。
それにこの人は…あぁ、考えたくもない。
さとみくんの初恋の人は、勇者サマ…あなただなんて。
その時点でもう叶うはずがないのだ。
それにそれを知ってるのは僕となーくんだけのはずだ。
…叶うはずないんだ。
自然と目に浮かぶ涙をダボダボな袖で拭い、夢中になって走った。
そんな会話を聞きながら階段を駆け登った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。