第9話

第六話
30,409
2020/02/21 12:09
莉犬くん
莉犬くん
あなたーーっ!!!
あなた

っ…莉犬…!!

壁を走るように向かってくる。
そして壁を蹴って私のところに飛んできた。
あなた

わっ

莉犬くん
莉犬くん
よかった…!!
空中でギュッと抱きしめられ、驚く。
顔をあげると莉犬くんは涙目で、今にも泣くかのような表情をしていた。

シュタッ

地面に降り立ち、ゆっくりおろされる。
怖かったからか腰が抜け、へたりこんだ。
莉犬くん
莉犬くん
もう、バカ!!いきなりあんな所から飛んでっ…!!
俺がいなかったら死んでたかもしれないのに、と泣きながら言う。それはそうだ。
これは流石にお礼を言わなきゃいけないな。
あなた

あ…ありがとうな

莉犬くん
莉犬くん
え?…えへへっ
お礼を言われて照れたのか、人差し指で頬を少しかいた。私が言うのもなんだが、笑ったり泣いたり忙しいヤツだな。

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莉犬くん
莉犬くん
もう晩餐の時間だし…戻ろっか
あなた

そうだな…

城の中に入り、ふと思ったことがある。
…脱出目的どこにいった!?
あまりのことに驚きすぎて忘れていた。

そして食堂につくと、ななもりとるぅとが
シュンとしていた。
そばに居るのがさとみであるあたり、たぶん叱られたのだろう。
あなた

…ななもり、大丈夫か?
一応私の蹴りは村1番なんだ。
それをまともに腹にくらったら結構痛いはずだぞ?

ななもり。
ななもり。
大丈夫だよ。
それより俺たちの方がごめんね
るぅと
るぅと
さとみくんが、あなたの落ちていくところを見せてくれました。僕はあんなの耐えられません!
すると、さとみが近づいてきた。
なんだ、妖気が強いやつが近づいてくると
つい身構えてしまうんだが。
さとみ
さとみ
…捕まえたのは別の理由だよ。
殺すつもりもないし、人質にして何かを求めるわけでも無い。だから…お願い、怪我しないで
あなた

あ、あぁ。
わかった…よ?

さとみは俺より15から20センチくらい大きくて、見上げる形になってしまう。
肩をガシッと掴まれているので、すごく目を合わせずらい。

それよりも、だ。
人質にして何かを求めるわけでも無い…?
てっきり、戦を有利に進める捕虜や人質だとばかり思っていた。
それ以外の理由…なんだろうか。
まさか…食料にされて食べられる!?
いや、殺すつもりもないって言ってたしソレはないか。
ころん
ころん
なに百面相してんの?
後ろからガラガラした声が聞こえてきた。
ヤギだろうか?
ころん
ころん
おいお前めっちゃ失礼なこと
考えてただろ!
あなた

ふむふむ、ヤギ(一応悪魔)は心が
読めるのか。メモメモっと。

ころん
ころん
無視すんなよ!!一応悪魔ってなんだよ。ガチ悪魔だよ!!
っていうかこの物語のツッコミってあなたの
はずだけど、とメタい話をしている。
面倒なことになりそうなのて無視しておく。

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