第34話

二十八話
15,256
2021/01/17 03:03
るぅと
るぅと
まだ、ですかぁ…!?
俺たち魔王軍一行は、莉犬くんを筆頭に、いばら道を進んでいた。どうやらあなたを攫ったヤツは辺鄙へんぴなところにある古城に籠っているらしい。
莉犬くん
莉犬くん
けっこうきょりはなれてそう!
ころん
ころん
そんなにあるのぉぉぉ(´;ω;`)
さとみ
さとみ
しかたないよ、がんばろーぜ!
やっぱりさとみくんは頼りになるなぁなんて思う。
だって現にこうして皆のやる気がまた出てきているんだから。
ジェル
ジェル
ほーら、がんばるで!
ガサガサと進んでいくジェルくん。
ジェル
ジェル
いっ…たぁ
ななもり。
ななもり。
え、だいじょーぶ!?
るぅと
るぅと
ちゆまほうあります!
たぶんつかえますよ!
サッとるぅとくんが出てきて、ジェルくんに治癒魔法をかけた。結構ザックリと茨の棘で切ってしまっていたけれど、かすり傷程度になるくらいまで治していた。
莉犬くん
莉犬くん
ここだ!
先頭で匂いを嗅ぎながら歩いていた莉犬くんがピタッと止まる。
見上げると、そこには…趣のある古城がそびえ立っていた。
ころん
ころん
このなかにあなたと、あなたをさらったやつが…!
さとみ
さとみ
ぜったいたすけだすよ!
俺も心の中で、絶対助けてあげるから安心して待っててね、とつぶやいた。
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あなたside
カルマ
カルマ
…(ピクッ)
あなた

…どうしたんだ?

カルマ
カルマ
いやぁね…君のお仲間が着いたみたいだよ?
思いのほか速かったかな?と笑う。
また怒りが沸き立ったが、現状どうにもならない。
ギリリと奥歯を噛み締める。
カルマ
カルマ
勇者サマ、そんな怖い顔しないでよ。ようやく助けが来たんだよ?もっと可愛く喜べよ。
そう言って頬を掴まれる。
でも…なんだろう。
していることは乱暴で、本人の意思でやってるはずなのに、目の奥はなんだか辛そうに見えてしまう。
あなた

お前…無茶、してるの?

カルマ
カルマ
は?なに言って…
あなた

だって、辛そう

じっと見つめる。
うっ、と嫌そうな顔をされたが、ため息をついたカルマは、面倒くさそうに話し始めた。
カルマ
カルマ
僕の本当の名前は…リーファ。
天から追放された天使だぞ?辛いなんて感情、天に置いてきたよw
あなた

本当に…?

カルマ
カルマ
うん、当たり前じゃんか。
そう言いながら私に繋がれた鎖をジャラリと持った。
カルマ…いや、リーファは続ける。
カルマ
カルマ
だからこれは復讐なんだ。
天が大事にしているものは、均衡きんこうだ。今この世は魔物と人間との敵対関係によって保たれてる。
私の目を見据えて言った。
カルマ
カルマ
だから僕はひっくり返してやるのさ。魔王の椅子にふんぞり返って座るのは僕なんだ!!

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