俺たち魔王軍一行は、莉犬くんを筆頭に、いばら道を進んでいた。どうやらあなたを攫ったヤツは辺鄙なところにある古城に籠っているらしい。
やっぱりさとみくんは頼りになるなぁなんて思う。
だって現にこうして皆のやる気がまた出てきているんだから。
ガサガサと進んでいくジェルくん。
サッとるぅとくんが出てきて、ジェルくんに治癒魔法をかけた。結構ザックリと茨の棘で切ってしまっていたけれど、かすり傷程度になるくらいまで治していた。
先頭で匂いを嗅ぎながら歩いていた莉犬くんがピタッと止まる。
見上げると、そこには…趣のある古城がそびえ立っていた。
俺も心の中で、絶対助けてあげるから安心して待っててね、とつぶやいた。
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あなたside
思いのほか速かったかな?と笑う。
また怒りが沸き立ったが、現状どうにもならない。
ギリリと奥歯を噛み締める。
そう言って頬を掴まれる。
でも…なんだろう。
していることは乱暴で、本人の意思でやってるはずなのに、目の奥はなんだか辛そうに見えてしまう。
じっと見つめる。
うっ、と嫌そうな顔をされたが、ため息をついたカルマは、面倒くさそうに話し始めた。
そう言いながら私に繋がれた鎖をジャラリと持った。
カルマ…いや、リーファは続ける。
私の目を見据えて言った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。