第18話

第十五話
26,203
2020/02/21 12:07
ころん
ころん
どう?気に入った?
ニコニコと笑っている。
…もう一度問いたい。
本当に貴方たち、魔王軍ですよね??
あなた

気に入った。
すごく綺麗だな…

思わず手をのばして、花弁を掴みたくなってしまった。
なんか、こういう噂が帝国であったよな…桜の花びらを、落とさずに三枚取れると願い事が叶うって。
ころん
ころん
「桜」って、言うんだってね。
小さくて、か弱く見えて、
綺麗。なのに、本当は…芯の
部分は強い。
なんか…あなたみたいだなぁ、
って思ってさ/////
あなた

へぇ…お前女の子褒めるの得意だろ

ころん
ころん
え!?
なんでそんなこと言うの!?
あなた

別に。カマかけて見ただけ

本当は、照れてるのを見破られたくなかったっていうだけの話だけどね。
その様子をしばらく見ていたころんだったが、唐突にニヤリと笑った。
ころん
ころん
ふーん?照れてるんだぁ
あなた

なっ!そ、そっか…
コイツ、心が読めるんだ…!!

肝心なところを見落としていた!!
あああ、恥ずかしいことしたなぁ…
ころん
ころん
ま、本心だからね
プイッと顔を背けてしまう。
でもその瞬間、ザアッと花弁が散った。
それに驚いたのか、ころんは振り向き…
目を、見開いた。



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ころんside
ころん
ころん
ま、本心だからね
「すごく綺麗だよ」

「この手に閉じ込めたいくらいに」



そんなことすら言えない、意気地のない自分に呆れて、そして少し恥ずかしくなって顔を逸らした。
すると、その瞬間にうしろで花弁が散る音がした。驚いてバッと振り向く。


…そこには、天女がいた。
子供の頃見せてもらった、中国とか日本とか言う国の書物に載っている綺麗な人。
桜の雨の中、美しい髪の女性が…書物通りの女性が、自分を見ていた。
あなた

…ころん?大丈夫か?
のぼせちゃったのか??

心配そうに顔を覗き込んでくる。
僕はそこでやっと通常運転に戻ってきた。
ころん
ころん
あ、大丈夫だよ。
桜の花綺麗だな~って思って
あなた

そうだなぁ…だからころんの口が
あんぐり開いたままなのかww

ころん
ころん
え、嘘!…ホントだ
何故か自分の顔を触って確かめた。
色々と気が動転していたのかもしれない。

ついでに、とあなたが近づいてきた。
少しだけ身構えてしまう。
あなた

花びら…ついてるぞ?

僕の青い髪に、薄いピンク色の花弁がペタッとはりついていた。
あなたはそれを取ると、クスッと笑った。
ころん
ころん
キュウ~…/////
あなた

待っ、待て待て!!
誰かぁぁ!!ころんが沈む!!
ころんがのぼせたぞぉぉぉ!!

必死に叫ぶあなたの声を聞きながら、僕は少しずつ花湯に沈んでいった。

僕はこのまま…





君に溺れていいのに。

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