ななもりside
ふわっとした魔術がその場にいる全員の体を包み込む。その魔術は俺の身体の力をしゅうしゅうと音を立てて吸い取っていく。
俺はがくんと膝を床についた。そして気を失い…
しばらくして、目覚めた。
妙に天井が高く感じる…なんでだろうか。
起き上がるとなんだかクラクラした。頭に手を当て…
驚いた。
手がこれでもかというほど小さい。
まるで幼子のふっくらとした手のようだった。
隣にいた莉犬くんは、子供に変わっていた。まさかと思って自分を見下ろし…絶句した。
俺も小さい子供だ。テーブルさえも大きく感じるほど縮んでしまったらしい。
人間で言うところの七歳くらいだろうか。
ご丁寧にも、服まで一緒に縮んでいる。
皆の顔がパァっと明るくなる。
体が小さくなったのは不便だが、そういう意味では魔法をかけられたことは良点だった。
全員で手を握りしめ、天に突き立てた。
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あなたside
久しぶりに解禁するこの言葉遣いは相手を警戒している時に使う言葉だ。
そんな私を見て、ふん、と鼻を鳴らす。
さとみが持っていたような骸骨型のなにかを取り出しスイッチを押した。
ウィン、と音がして、壁にさとみ達が映し出される。
しかし、何かがおかしい。
突然の高笑いに驚き、そちらを見る。
するとカルマは顔を手で覆って、クックック…と喉を鳴らして笑っていた。
楯突いたって、今マスターソードは魔王城にある。
何もできやしないのだ。
己の無力さにひたすら空虚感が体の中を漂っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。