私はビクッっと肩を震わせた。
だって、あんなものがいた筈なのに、この人からは。
麗しく‥‥可憐。そして、素敵な匂いしか感じとれないのだから。
?? 『 こんばんは。私は_ 』
あぁ、思い出せない。
素敵な貴方の名前が思い出せない。
自分の名前も思い出せない。
またこうだ。全て時が止まったように。
動かなくなる。音も聞こえなくなる。
どうして?どうして私はここにいるの?
‥‥あぁ、思い出した。思い出したよ。
私 『 ‥‥人を、喰らうためだ 』
鬼となった自分の為し遂げなければいけないことを、今、しっかりと為し遂げる。
いや、ダメだ。そうしたら、芽依に‥‥
‥‥あれ、芽依って‥‥誰だっけ____?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!