「あ、あの人」
千夏が信号待ち人を指さす。さっきの先輩だ。横には顔が整った先輩がいた。先輩はその人に何かを訴えてるようにみえた。
「恥ずかしかったんだよー😭、あ、あの子だァー」
なんだ、あのオカマ風はとふと思った。そんなことを考えていると先輩達がこっちにきた。顔立ちの良い先輩はニカッと笑った。
「俺、草山光、こいつは夢澤春樹」
やっぱり同じ名前だったんだ。
「まぁ、こいつさ人見知りで後輩と仲良く出来なくて困ってるみたいだからこの際なかよくしてくれよな!」
ちゃらいなーと大輝が言った。それに気づいた草山先輩は下を向く。
「やっぱりそうだよな、ごめん、いこ」
そう謝り立ち去ろうとする先輩達。私はなぜか草山先輩のことが目から離せなかった。このまま行かせたくなかった。友達になりたい...!
「待ってください!」
「かおりん?」
草山先輩は振り向く。
「私とお友達になってください!」
シーンと周りが静かになる。なんて恥ずかしいことをしてしまったのだろう...とかおを赤くする。
「ふっ、くくくっ告白みたいだな笑」
草山先輩が口を押さえ笑う。
「わ、笑わないでくださいっ」
私はほっぺをふくらませた。
「いいよ、友達になろう」
草山先輩はそう言って笑った。私もそれにつられて笑った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。