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第9話

九話
急に飛んで2年後___________
あの1年間は何もなく、完全に平和だった。
いじめられた訳でもなく、いじめた訳でもない。家柄で差別されることもなかった。
_東@あずま_ _美琴@みこと_
あずま 美琴みこと
先に上がりま〜す!
卒業後、私は大学には行かず、社会人として働いている。
音楽とは無縁の、普通の会社で働いており、成績は悪くない。
高校生までの性格とは真逆に、明るくポジティブになっていた。
ちゃんとしたホワイト企業で、残業もあまり多くない。
平和な分、全くもってつまらない。それに、女性ばかりな上、数少ない男性も全員既婚者という、寂しい職場。
好きな人なんてできるわけもなく。
赤色のマフラーを首に巻き、手を擦り合わせながら歩く。
今はクリスマスシーズン。イルミネーションの通りに入れば、周りにはカップルが沢山いる。
たまに設置されるストリートピアノには、カップルがいちゃいちゃしながら座って弾いている。
いいな、と思いつつも、くそくらえ、と思ってしまう。
_東@あずま_ _美琴@みこと_
あずま 美琴みこと
はぁ…!?
妙にイライラして、変な声が出てしまった。
なぜか、とても殴りたくなってくる。
先程のカップルがいなくなったストリートピアノに、おずおずと座ってみる。
手をかけようとすれば、やはり震え、過呼吸になる。
前ならばそこでやめるのだが、なぜか今日はやめたくなかった。
息を整え、深呼吸をして鍵盤に震える指をかける。
_東@あずま_ _美琴@みこと_
あずま 美琴みこと
〜♪〜♪
5年以上弾いておらず、楽譜すら見ていないのにも関わらず、楽譜が頭にすらすらと浮かんでくる。
弾いていれば、手の震えも消え、笑顔になり、完全にピアノに入り込んでいた。
その音に惹かれて集まった人々。その中には、スマホを向ける人までいた。
もちろん、そんな人達はピアノに入り込んだ美琴の目には入るわけもなく。
弾き終えた瞬間、そこには拍手が響いた。
_東@あずま_ _美琴@みこと_
あずま 美琴みこと
…!?
驚いてキョロキョロする美琴に、笑いが溢れる。
勇気を出して、美琴は声を発する。
_東@あずま_ _美琴@みこと_
あずま 美琴みこと
…聴いていただき、誠にありがとうございます!
深くお辞儀をすれば、また聞こえる拍手。
_東@あずま_ _美琴@みこと_
あずま 美琴みこと
では…!
そう言って、私は改札口に向かう。
とても嬉しかった。弾いた理由がカップルにイライラした、なんていうしょうもない理由だけど。
普段ならこんな遅い時間になれば不安になるが、今日は清々しい気分だった。
後日、SNSに上げられていた動画により、同僚たちにいじられたのはまた別の話。