一つ、かなりのお嬢様学校であること。
二つ、階級制度があること。
三つ、この学校は「音楽に全く関係ない」ということ。
知っているのはこれだけ。それ以外は何もわからない。
少し不安になりつつ、咀嚼するのは止めない。
あと5、6分も経てば、さっきの使用人さんがやってくる。それまでに食べなければいけない。
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なんとか食べ終わった瞬間、またノックの音がする。
ドアを開けたのはさっきの使用人さんではない人だった。
妙にガラガラという音がした気がする。
というか、している。
「何って、制服ですよ」
「天野宮学園の制服です」
天野宮学園とは、今日から行くお嬢様学校の名前だ。
「はい、全てです」
全部で20着以上ある。これ全てが制服だというのか。
「お好きなものをお選びください」
そう言われると悩んでしまう。
セーラー服やブレザーなど、沢山ある。全て同じではなく、細かい装飾や色が違ったりする。
真っ先に外れるものといえば、露出があるもの。
腕や足、首以外が出たり、半袖だったりするのは嫌いだ。
つまりセーラー服の半分は除外される。それとブレザーも着ないので却下。
ボレロはデザインが好みでは無いのでこれも却下。
そうすると、長袖のセーラー服かジャンパースカートになる。
結局、制服はジャンパースカートに決まった。
理由は、セーラー服の好みの色が半袖にしかなかったから、という単純な理由。
黄土色と黄緑色の組み合わせはとても合う。春が好きな私にとって好きな色の2つだ。
制服も決まったところで、ずっと疑問に思っていたことを聞いてみる。
「色やデザインを好きなものにして楽しんでほしい、という学園長の希望でこうなったそうです」
とはいえ多すぎではなかろうか。
だが、よくよく考えてみると、生徒の親は全員お金持ち。なのでお金が集まるのだろう。
「着替えの間は、外に出ていますね」
そう返事をすると、選んだもの以外を掛けたラックを外に出していく。
食器も片付けてもらう。
それと一緒に、全員が出ていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。