6:30ごろ、急にフッ、と光が入ってくる。
その光で目が覚め、寝癖を直そうと部屋に付いている洗面所へ。
洗面所にある鏡を見た時、驚いた。
髪の毛の色、髪型が全く違う色にされている。
驚きつつ髪を触っていると、何か引っかかる物がある。
実は、勝手に切られたのかと思いきや、ウィッグだった。
とりあえず外して、いつもの姿に戻る。
ご丁寧にウィッグをするときのネットまでしてある。
いつも眠りが浅い美琴でも、昨日は疲れていて熟睡していたらしい。全く気づかなかった。あまり嫌いではなかったが。
その時、ガチャ、とドアが開く音がした。
バタン、とドアが閉まれば、美琴は準備を始める。
見渡した所制服らしきものはないので、服は前の学校のものを着る。
ブレザーなどは着ないので、いつもはシャツに何か羽織って登校する。
いつもの格好で食堂に向かう。
部屋の前に着き、ドアを開ければ、またもや驚く。
前はとても長い机があったところに、小さな机がいくつも並んでいる。
その机の上には金を使った燭台と食器があることから、ここもパーティ会場になるのだろう。
それはいいのだが、では食べるところはどこなのか、という疑問が出てくる。
そう言い、少しスキップをしながら部屋に帰る。
自分の部屋なら緊張も何もいらないからそちらの方が個人的には楽だ。
部屋に戻り、本を読む。
食事が来たのは、その3分後だった。
コンコン、と気持ちの良い音が鳴る。
そう答えれば、使用人の人が部屋に入ってくる。
「お食事を持って参りました」
「いえ、そういう訳にも((」
「……わかりました」
「10分後に、また来ますね」
「では」
そう言って部屋を出て行く。
朝ご飯は、バターを塗ったトーストにハムやレタスと、シンプルなものだった。
確かにこれくらいなら、10分もあれば余裕で食べ終わるだろう。
もぐもぐ、と咀嚼しつつ、聞いている限りの学校の情報を思い出す。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!